笑顔33 ページ3
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―ガチャッ
私たちはそのまま屋上へとやってきた。
健は私の手をそっと離し、フェンスの方へ向かう。
満「...健。」
健「...スッキリしたー！！！！」
健は大きく伸びをするように両手を挙げ、大きな声で叫んだ。
満「え...」
健「...先輩、すみませんでした。あんな勝手なこと...」
満「...どうして、あんなこと？下手したら...あなたにいじめの矛先が行くかもしれないのに！」
健「そうなったとしても、正直どうでもいいんですよ。」
健は私の方を振り返り、笑顔でそう言った。
健「俺は自分がどうこうなるよりも...先輩が一人で傷つくのが、一番嫌なんです。
先輩が傷つかないで済むのなら、俺は...いじめられることになっても怖くない。」
満「...なんで？なんでそこまでして...」
泣きたくもないのに、何故か勝手に私の目から涙が溢れた。
健はそんな私を見て少し驚いたみたいだったけど、すぐに笑顔に戻る。
健「...先輩を笑顔にしたいから。ただ、それだけです。」
満「私を...笑顔に？」
健「先輩...すごく綺麗な人なのに、笑わないなんてもったいないです。きっと先輩の笑顔は俺...
すっごく綺麗だと思うから。」
満「...！」
健「お節介かもしれないですけど...これでも一応俺ピエロなんで！
みんなを笑顔にしたいんです。」
健はそう言い、私の方へ近寄り...
そっと私を優しく抱きしめる。
健「...先輩、俺が出るサーカス...観に来てください。そして、俺の演技を見て、笑ってください。」
満「健...」
健「お願いです、来てください。...満月先輩。」
健はそっと手を解き、私を見つめると...すごく優しい目で微笑んでくれた。
その笑顔を見て、私の胸がかすかにトクン...と高鳴った。
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作者名：紗也
| 作成日時：2016年2月4日 20時
