笑顔31 ページ1
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−健side−
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―その夜、俺はいつものように稽古場に来ていた。
だけど、集中できない。
『私があなたに助けを求めたら...いじめの矛先はあなたに向くかもしれない。
それだけは嫌なの。もう誰かが傷つくのを見るのは嫌...
だったら、私が全部...』
一ノ瀬先輩...
『健には...いつもの笑顔でいてほしいから。
だから...ごめん！！』
先輩、自分が辛いはずなのに...俺のことまで考えてくれてたなんて。
スッ
健「わっ...！！」
俺は足を滑らせ、下に落ちる。
だけど、しっかりトランポリンの上に着地した。
健「...あっぶね。」
「健！！何やってんだ！集中しろ！怪我でもしたらどうすんだ！！」
健「すみませんでした！！！」
綱渡りで落ちるなんて...
そこまで集中できてないなんて俺...
健「...すみません、団長。今日はもう上がっていいですか？」
「どうした、健。いつものお前らしくねーぞ。...具合でも悪いのか？」
健「...はい、少し。」
「そうか...公演まで近いしな。今日は無理すんな、家帰ってしっかり休め。」
健「ありがとうございます。」
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―俺は早めに上がらせてもらい、電車に乗った。
健「...」
どうしたら、先輩は...苦しまなくて済むんだろう。
どうしたら、先輩は...笑ってくれるんだろう。
先輩が笑ったら、きっともっと綺麗なのに...
勿体無いよ。
健「...」
俺、先輩が笑ってくれるなら...
なんだってしてみせる。
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作者名：紗也
| 作成日時：2016年2月4日 20時
