【wrwrd】天使と悪魔【魔法パロ】 (ページ39)

今日:8 hit、昨日:3 hit、合計:105,211 hit

第38話不安でもいいページ39

ある日の夜。

rb「Aちゃん。グルッペンが呼んでる。」

「えぇ！？え、はい！」

…大丈夫、ここ最近の訓練でも何もやんちゃはしていない。

何も後ろめたいことはないが、総統室に入るのはいつになっても緊張する。

コンコンコンと3回ノックをすると、中からいいぞ。と声がした。

「失礼します。」

扉を開け中に入ると、椅子に座っていた総統様が振り返った。

gr「お、A、来たな。」

「来ました。ご用件はなんですか？」

すると総統様はふっと笑う。

gr「…すっかり顔つきがたくましくなったな。立ち話もなんだ、そこのソファーでゆっくり話をしようではないか。」

「分かりました、失礼します。」

ソファーに座ると、従者の方が紅茶を置いてくださった。総統様は従者の方を退室させる。

gr「さて…。Aよ。我々部隊には馴れたか？」

「はい。皆様が優しくフランクに接してくださるので。」

gr「うむ。それは良かったゾ。記憶の方は、戻りそうか？」

紅茶をかき混ぜながら問われる。

記憶…。この2ヶ月本を読んでみたりなどして手がかりを掴もうとしたが、全く成果は得られず、むしろ自分の存在に対して謎が深まるばかりであった。

「いえ…まだ、何も分かっていません。」

gr「そうか。…不安か？」

「え？」

gr「記憶を失ったことで、自分の正体が分からないことが不安か、と聞いている。」

「…不安でない、と言えば嘘になります。」

心に比例して、表情も暗く、俯き気味となってしまう。すると総統様は急に優しく、真剣な顔となり

gr「ここからは俺の自論なのだが。」

いつもの演説のような勢いはなく、ぽつぽつと、ゆっくり言葉を紡ぐように話し始めた。