第36話 それぞれの強さ ページ37
呪いから目覚めたその夜。
まだ完全に回復、とはいかないので部屋には戻らずそのまま治療室で一晩過ごすこととした。
治療室のベランダに出て、景色を見ながらお昼にあった事を思い出す。
私、疑われてしまったな…。
そら無理もない。私はつい2ヶ月前ぐらいに突然現れた素性も分からない人間だ。当然のことだ。分かってる。
でも……
shp「気にしてるんすか。」
突然の声に振り向くと同じく治療室に泊まったショッピさんが居た。
shp「はぁ…泣くほど気にしてたんなら言えば良かったのに。」
ショッピさんは私の顔に流れていた涙を拭う。
「ぐす…すみません……」
shp「まぁでもあれは大先生が悪いんで。」
後でしばいときますよ、とショッピさんがこちらを見て微笑む。あまりにも自然にしばく宣言をされたので、つい笑ってしまった。
shp「ん。笑ってる方がええっすよ。」
「…ありがとうございます。」
shp「大先生のこと、悪く思いました？」
「え…、いやそんなことは、」
shp「大先生も、あんなんでも一応国のトップ3なんで。毎日ああして軍人の治療をしつつ国の安全に気配ってるんすよ。国の人の上に立つ人間は疑い深くないといけないですから。」
「そうやったんですね…」
shp「まあそれでもあれはダメっすね。大先生の代わりに謝ります。すみません。」
ショッピさんに頭を下げられるが、そんなんされるようなものではない。
「そんな、頭上げてください…！もう大丈夫なので…！ありがとうございます。」
shp「そうですか。」
ショッピさんが煙草に火をつける。煙をふうと吹き出す姿は絵になるなと思った。
「ショッピさんは、なぜ我々部隊に？」
shp「あー、聞いちゃいます？」
よからぬことだったかと思い急いで謝るとショッピさんはふふっと笑いながら話してくれた。
shp「ふは、冗談っすよ。…俺は、初級兵の頃からそれなりに戦えて、上級兵に上がってからは周りに俺より強いやつは居ませんでした。それをグルッペンさんに評価されて半強制的に呼ばれたって感じですね。」
まあ今では周りの方が強いですけど、と煙を吐きながらショッピさんは笑う。こんなに笑う人やったんやな。
「なるほど…やっぱり皆さんすごい人達なんですね。」
shp「そっすね。化け物揃いです。…もう夜も遅いですし戻った方がええんとちゃいますか。」
時計を見るともう寝る時間を差していた。完全回復のために私達は部屋に戻りゆっくり休んだ。
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作者名：ちろるん | 作成日時：2020年5月31日 12時
