【呪術廻戦】最凶呪術師は最凶ルートを回避したい

7話 ページ9

・


そんな夜蛾との会話から約2週間。


「あーーー、わり」

「……は？」


目の前には、五条悟がいて、なんと私はその五条にコーヒーをぶっかけられていた。

いや、これは完全に天与呪縛ですわ。
何が起きたかというとだな、曲がり角を曲がったら丁度五条が出てきて持ってたコーヒー、恐らく砂糖が大量に投入されているであろうそれが、私の制服にびしゃびしゃ！とね、掛かったわけだ。


「うわ、女の癖に声低」


はっ、と嘲るような笑いを見せた五条に、思わず拳を握りしめる。
実は私は、原作を読んだ時から五条のことがかなり苦手だった。いや、嫌いな訳では無いし彼の生まれ育った環境を考えれば仕方の無いことではあるが、あの人を見下した態度は正直関わりたくねぇな、と思うタイプの人間だったわけで。

それに何より。



誰よりも近くにいながら、親友の苦しみに気づかず、闇の道へ進むのを止めてくれなかったことを、私は許せなかったのだ。




私が、貴方だったら。私が、五条悟だったなら。
そんな事を思ってもどうにもならないのに、あまりに残酷な最推しの最期に、私は五条悟というキャラを責めることしかできなかった。

……まぁ、今となってはチートに転生しちゃったからそんな恨みつらみはどうでもいいんだけども。


「初対面の先輩に対する態度がなってねぇな、一年坊主」

「はぁ？」


前世のことは無視しても、だ。



人の制服にコーヒー零しといて「あ、わり。お前声低いな」はねぇだろうが！！！

まじでコイツの態度の悪さを目の当たりにするととんでもねぇ奴だな。私でも初対面の歌姫と夜蛾には敬語だったし、オレンジジュースぶっかけた九十九には敬語で平謝りしたわ！なんだったら土下座する勢いだったわ！

私も自分の性格や態度、言動がとてつもなく悪いということは自覚しているが、流石にここまでではない。ある程度の分別と、年上に対する敬意は持ち合わせている。はずだ。

それをコイツは。


「自らの失敗を謝ることもできないなんて、五条家の教育はどうなってんだ？あ？」

「……今なんつった？」

「おーおー聞こえなかったか最強君よぉ。何回でも言ってやる」


後輩の指導をするのも先輩の役目。
そして、後輩のリミッターを外し、実力を付けさせるのは上の等級を持つ者としての役目だ。
それならば。


「その歪んだ自尊心、躾直してやるよ。表出ろ、五条悟」


たとえ嫌われても、私が変えて見せよう。
推しが笑っていられる、明るい未来のために。

8話→←6話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す