【呪術廻戦】最凶呪術師は最凶ルートを回避したい

36話 ページ38

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「……今、なんつった？」


「ひっ、！？」



廊下で話していた名前も知らない後輩呪術師に申し訳なく思う余裕もなく詰めよった。

だって、ソイツが今口にした、名前。



「九十九由基が、昨日高専に来たってのは、本当か？｣



私の質問に、怯えながらも首を縦に振る男を見て思わず舌打ちが漏れた。

九十九が、高専に来た。しかも、昨日の話。



「クソっ、なんで挨拶に来ねぇんだよあの馬鹿女！」



部屋に戻る道すがらに吐き捨てた言葉は、誰にも拾われることは無い。

おかしい。

私は昨日、一日中高専に居たわけで、九十九と面識がある数少ない特級術師。今までアイツが高専に来た日には必ず私の元を訪れ、「どんな男がタイプか、いい加減教えてくれないかなあ」としつこく聞いてきていた。

それが、昨日に限って。


私が居ると知らなかった？
いや、そんなわけがない。夏油に会っているならば、私が高専に居ることは夏油経由で聞いたはず。

九十九が私に挨拶し忘れた？
これもおかしい。いつも忘れないものを、こんなタイミングで忘れるものだろうか。そんなわけがない。



＿＿＿＿＿＿じゃあ、何故？




「いや、待てよ…アイツが来たってことは、まさか、」




"明日の任務、結構遠出なんですよ"


灰原のこのセリフは、九十九に出会う直前。
つまり、等級違いの任務に行っているのは。




今日。






「っ！！！！」


気づいた瞬間、真っ先に夜蛾の元へ。
遠方だというのは聞いてる。今から行って間に合うか。

なんで、なんで私に回ってこないんだ。
どうしてこういう時に限って天与呪縛は仕事をしない？



いや、違うか。




「っ、私の予想が当たってるってことかよ…！」




天与呪縛が仕事をした結果が、これだ。






「おい、夜蛾！！今すぐ私か五条を灰原の任務地に連れて行け！！」


「…何をお前はそんなに慌てて、」


「いいから早く場所を言え！！｣



胸ぐらを掴んでいた私の手をそっと外し、夜蛾が口を開きかけたその瞬間。







ピリリ



鳴ったのは、夜蛾の携帯で。








「…………わかった。直ぐに戻ってこい。任務は悟に引き継がせる」









「……まさか、灰原は、｣


夜蛾はただ、黙って頷くだけだった。

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