【呪術廻戦】最凶呪術師は最凶ルートを回避したい

10話 ページ12

・




「…御手洗、先輩？」




後ろから恐る恐る、と言ったふうに掛けられた声に振り返ればそこには。


「………家入硝子」


はーいおめでとうございます顔面国宝の硝子ちゃんで〜す！！！
いやね、さっき五条と喧嘩(ガチ)で顔を合わせたばかりなのに、さしすの硝子ちゃんと合同任務なわけですよ、とんでもねぇだろ？ついこの間まで顔すら見せなかった君達いきなりどうしたの？デレ期なの？

内心こんな変態野郎みたいなことを思われているとは露ほども知らない硝子は「私のことをご存知なんですか？」と心底驚いたような顔をする。



「五条と同じクラスだろ。歌姫からもよく名前を聞いていたからな」


「あ、歌姫先輩が……。私も御手洗先輩のお噂はかねがね…」




前世から知ってるよ✩なんて気持ちの悪いことは口が裂けても言えないので、ありきたりな理由で誤魔化しておいた。
硝子はやはり少々萎縮しているようだ。未来の彼女を思い出すと信じられないが、彼女は五条たちとは違って歌姫にも敬語で話していたし、さっき五条と喧嘩したことは知っているだろうからまぁ、うん、しょうがないかな。ビビられていても。



「ろくな噂じゃないだろ。歌姫からはなんか聞いたか？」


「五条と夏油とは違ったベクトルでクズ、とだけ」


「アイツ絶対殴る」



影でこの可愛い可愛い硝子ちゃんに私の悪口言ってやがったのか。あの裏切り者め、次会ったら五条と一緒に煽り散らかしてやるから覚えとけよ。


「遅くなりましたが、高専1年の家入硝子です。今日の合同任務、ご指導のほどよろしくお願いします」


「…あー、うん。そんな固くなんな。めんどいから敬語使わなくていーし」


ひらひら、と手を振って気を遣わないよう伝えれば、またまた硝子は驚いた顔をする。

そりゃそうだよな、「先輩への態度がなってねぇなぁ？」っつって五条と殴り合いした奴が「敬語使わなくていいよ〜」なんて支離滅裂がすぎる。

五条に関しては"初対面なのに"敬語を使わなかったことに対して怒ったわけであって、決して"敬語を使わなかったこと"に対して怒った訳では無い。

その乙を聞いた硝子は、「…御手洗先輩ってちょっと面倒な人なんですね〜」と冷めた目をこちらに向けた。




御手洗先輩、ちょっとショックです。

11話→←9話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す