検索窓
今日:11 hit、昨日:27 hit、合計:175,569 hit

31 ページ33







あの気まずい事後処理からまた1週間。





私はしのぶさんに呼び出されていた。





『あのー……しのぶさん、これは………?』





私は自分の手の中にある軟膏と包帯を見ながら恐る恐るしのぶさんに声をかければ。





「それは冨岡さんに持っていくやつですよ。Aが持って行ってあげてください」





…………やっぱり。





なんとなくそんな気はしてたんだ。





『いえ、でも私はもう専属の隠ではありませんし………』





「あら、でも恋人でしょう?」





『……………もう水柱様もそんな風に思ってませんよ。』





あの日だって別の人に怪我の手当を頼むと言って私には1度も触らせてもらえなかった。





どうしても心配で部屋まで適当な理由をつけて様子を見に行った時だって、私の方に目もくれなかったんだもの。





私はもう義勇さんに嫌われてるんだ。





………自業自得だよね。





「A。」





しのぶさんのいつもより数段硬い声が聞こえて思わず肩をすくめる。





「貴方はもっと冨岡さんのことを理解していると思っていたのですが、どうやら私の勘違いだったようですね。」





しのぶさんの言葉がまるでなにかに切りつけられたかのような痛みを伴って胸に刺さった。





その痛みに反射的に顔を上げれば、こちらを見つめるしのぶさんの鋭い双眸。





理解してる、なんて。





もう分からないよ、私には。





義勇さんが何を考えてるのかなんて、もう分からない。





「冨岡さんは不器用な人です。いつだって言葉が足りない。それは貴方が1番分かっていることでしょう?」





『……………でも…』





「でも、じゃありません。私は他にも仕事があります。これはAが持っていってください。」





あ、きちんと手当をしてくるように。





しのぶさんはそれだけ言うと、もう話すことは無い、といった様子で私に背を向けた。





これはどう足掻いても持っていくしかない。





………仕事だもの、仕方ないよね。





そう、仕方ない、様子が見れて嬉しいなんて思ってないから。





私は蝶屋敷からそのまま2週間ぶりの道を歩いた。

32→←30



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (259 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
389人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 鬼滅 , 冨岡義勇
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

きよりん(プロフ) - わらび餅。さん» 飲み会(笑)いえいえ、指摘なんて失礼しました。 (2020年7月8日 10時) (レス) id: 599608a929 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅。(プロフ) - 義勇大好きな女さん» わ〜!そんな風に言っていただけて嬉しいです!お読みいただきありがとうございます〜!! (2020年7月8日 6時) (レス) id: b794bc2212 (このIDを非表示/違反報告)
義勇大好きな女 - 話終わったら、目から水が、、、!? (2020年7月7日 22時) (レス) id: 8ebef6a95a (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅。(プロフ) - きよりんさん» そうです、軟骨になってますね……笑ご指摘ありがとうございます、直しておきます……軟骨と包帯って今から飲み会でもやんのか?って感じですねすいません……笑 (2020年7月7日 5時) (レス) id: b794bc2212 (このIDを非表示/違反報告)
きよりん(プロフ) - 31話と32話に軟骨とありますが軟膏の事ですか? (2020年7月6日 23時) (レス) id: 599608a929 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:わらび餅。 | 作成日時:2020年5月22日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。