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義勇side
「あら、最近やたらと機嫌のいい冨岡さんじゃないですか」
「………知っているんだろう」
「ふふ、何のことでしょう?」
Aと恋仲になって1ヶ月。
替えの包帯を貰おうと蝶屋敷に足を運べば、会ってそうそう胡蝶にからかわれる。
Aはよく蝶屋敷の話をしていた。
確か……神崎、といったか。
そいつと仲がいいということも、胡蝶と顔見知りだということもAから聞いているし、恋仲になった話はもう既にAがしているはずだ。
「Aに甘えてばかりでは駄目ですよ。冨岡さんはいつも言葉が足りませんから」
「分かってる」
「分かってないから言ってるんですよ………全く……」
分かっている。
自分の話術が巧みではないことくらい十分分かっているし、その分彼女が俺の言いたいことを汲んでくれていることも分かっているのだ。
「Aはそれでもいいと、そう言ってくれた」
「それが甘えだと言ってるんです。冨岡さんの気持ちは正しく伝わってないかもしれませんよ。」
ちゃんと好きだと伝えたことはありますか?
胡蝶にそう聞かれて思い返してみれば、言ったことが無いような気がする。
俺の様子で察したであろう胡蝶がため息をついたところで。
『おーい!義勇さーん!!義勇さーーーん!!』
大声で呼ばれる自分の名前。
振り返ればかなり遠いところから思いっきり手を振っているAがいる。
なんなんだ、可愛すぎるだろう。
思わず頬を緩めれば、胡蝶の隣にいた神崎がうわっと声を漏らした。
こちらに駆け出したAを見て、俺もAの方へ。
ふと、Aの足が止まる。
「……A、どうした」
声をかけても俯いたままのAの頬に手を添えれば、思いっきり振り払われて。
……嫌、だったのか。
『あ………ご、ごめんなさい……』
顔を上げたAの目には涙が溜まっていた。
Aはそのまま走り去ってしまって。
俺は呆然と立ち尽くす。
振り払われたショックよりも、泣かせてしまった罪悪感の方が何十倍も大きかった。
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きよりん(プロフ) - わらび餅。さん» 飲み会(笑)いえいえ、指摘なんて失礼しました。 (2020年7月8日 10時) (レス) id: 599608a929 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅。(プロフ) - 義勇大好きな女さん» わ〜!そんな風に言っていただけて嬉しいです!お読みいただきありがとうございます〜!! (2020年7月8日 6時) (レス) id: b794bc2212 (このIDを非表示/違反報告)
義勇大好きな女 - 話終わったら、目から水が、、、!? (2020年7月7日 22時) (レス) id: 8ebef6a95a (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅。(プロフ) - きよりんさん» そうです、軟骨になってますね……笑ご指摘ありがとうございます、直しておきます……軟骨と包帯って今から飲み会でもやんのか?って感じですねすいません……笑 (2020年7月7日 5時) (レス) id: b794bc2212 (このIDを非表示/違反報告)
きよりん(プロフ) - 31話と32話に軟骨とありますが軟膏の事ですか? (2020年7月6日 23時) (レス) id: 599608a929 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わらび餅。 | 作成日時:2020年5月22日 11時