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4話 ページ4

…なんで?
なんでこうなったんだろう…?

マサイ「小日向さんは?今日なんかあるの?」
貴「…薬もらうくらい…です」

なんで隣の部屋の彼と話しているの?
あぁ、そうだ


目を覚ましてお兄ちゃんに
着替えを持ってきてもらおうと連絡を終えた直後

扉をノックされ看護師さんだろう
そう思って扉を開けると笑顔の彼

マサイ「おはよう!」
貴「…おはよう、ございます…なにか御用ですか?」

私なにかしたっけ?
この人とはもう合わないつもりだったのに

マサイ「いやっ、特に用があったわけじゃないけど…
昨日またね、って言ったんだから会いにこないといけねぇじゃん?」

コロコロ表情が変わる
きっと…人生が楽しいんだろうな…

マサイ「てか…またねって言ったんだから小日向さんも返して欲しかったのに」
少し不貞腐れたような顔をした

貴「…もう、貴方とは合わないつもりだったので…それとまたね、なんて言葉は好きじゃありません」
こうして冷たくしていればもう会いには来ないはず

マサイ「…どうして?」
貴「……」

そう聞かれて俯く
マサイ「…そ、そう言えばさ!小日向さんはどうしてここにいるの?」

気まずくなったのか話題を変えた
貴「…びょ、うき…です」

マサイ「そうなんだ…もう長いの?」
色々と聞いてくる彼にだんだん嫌気がさす

人のテリトリーに土足で踏み込む
嫌い…

輝いている彼が憎い
自分が惨めだ

美しい光を放つ彼も
死の順番待をしている私も

お父さんやお母さんだって
みんなみんな、大嫌いだ

貴「中学2年生の時に病気がみつかって…高校1年生の時に5年後の生存率は10%だと言われました。病気の進行が遅くて今まで生きていますがきっと来年には死にます」

自分でも驚くほど淡々と事実だけを伝えていた
マサイ「可哀想だね…」

貴「そんな事ありません。みんないつかは死んでいくんです。私はみんなより少しだけ死ぬのが早かっただけです」

…こんなことを思っていたなんて
私はいつの間にこんなに汚い人間になってしまったのだろう

マサイ「そうじゃなくて…!"生きる希望"がないなんて可哀想だなって…」
…どうして?

どうして貴方にそんなことを言われなくてはならないの?
溢れてきそうな涙を堪えて俯いた

マサイ「…じゃあ、俺…手術だから…またね?」
貴「……」

彼は踵を返した
私の嫌いな言葉を残して

なんの手術だか知らないけど死ねばいい
みんな死んでしまえばいい

一人残らず…
居なくなってしまえばいい

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作品ジャンル:恋愛
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りん(プロフ) - とても感動しました。本当に素敵な作品でした、これからも応援しています! (2021年7月19日 12時) (レス) id: 455f01eeaa (このIDを非表示/違反報告)
*のの(プロフ) - みかんさん» 分かりました!わざわざコメントありがとうございます! (2020年11月9日 22時) (レス) id: 271830f170 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - これも残して欲しいです! (2020年11月8日 21時) (レス) id: f236b70c3f (このIDを非表示/違反報告)
*のの(プロフ) - @さん» ありがとうございます!違う作品も読んだらぜひコメントください! (2019年9月23日 9時) (レス) id: 139f9ac550 (このIDを非表示/違反報告)
@ - とても感動しました!!こんな素敵な作品を作ってくれてありがとうございました。違う作品も見てみたいです!! (2019年9月22日 22時) (レス) id: 298780871c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鳴海 帆南 | 作成日時:2019年6月6日 16時

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