6話 ページ6
次の日の朝
扉をノックする音で目が覚めた
案の定お隣さんがいて…
ﾏｻｲ「ちょっ！無言でドア閉めようとしないでよ！」
半ば強引に扉をこじ開けて
ﾏｻｲ「取り敢えずお邪魔しまーす」
貴「なんですか？ていうか…勝手に入ってこないでください」
ﾏｻｲ「お邪魔しますって言ったよ？」
そこは問題じゃないでしょ
ﾏｻｲ「てかやっぱりまたね、って返してくれなかったね」
昨日だって伝えたはず
その言葉は嫌いだと
貴「それは言ったような気がしますが…その言葉は聞きたくないです」
ﾏｻｲ「…嫌いな理由…聞かせてくれないかな？」
何を考えているのだろう？
私には理解ができない
貴「また、なんてあるか分からないじゃないですか…そんな保証はどこにも無いのに…また会えるかもわからないのにそんな約束はしたくありません」
会うことを誓えば
また…会いたくなってしまうのを知っているから
ﾏｻｲ「そっか…事情も知らないのにごめん…」
…えっ？
また昨日のように『かわいそう』なんて言うと思っていた
彼の反応に少し驚く
貴「昨日と全く違うこと言ってますが…頭でも打ちましたか？」
ﾏｻｲ「ううん、昨日病室に帰ってから考えてみたんだ」
申し訳なさそうに言う
少し俯いたまま
ﾏｻｲ「笑ってるときも楽しいときも、頭の何処かには"死"があるんだろ？それってすげー辛いと思う。昨日はあんなこと言ってごめん。俺もよく体調崩すけど、明日死ぬかもなんて考えたこともないから…小日向さんの辛さ、全部はわからないけど…少しも分からないわけじゃない」
貴「私の気持ち…考えてくれる人、初めて見た…」
大抵の人は私の気持ちなんて少しも考えてない
私の話を聞けば『かわいそう』だとか『頑張れ』だとか
そんな事を言ってくる
かわいそう、なんて見下されているみたい
馬鹿にされているみたいですごく嫌だ
頑張れ、なんて何を頑張ればいいのかわからないし
今だって命をかけて病気と闘っているのにこれ以上何を頑張ればいいの？
そう思ってしまう
ﾏｻｲ「あっ、そう言えば…俺の友達がさ、小日向さんに会いたいって言うんだけど…」
貴「…嫌です、会いたくありません」
これ以上健康な人に会いたくない
この人の友達なのだから輝いているに決まってる
ﾏｻｲ「そこをなんとか！頼むって！」
貴「嫌なものは嫌です」
ﾏｻｲ「…やっぱりか…分かった、あいつらには伝えとくよ」
彼が悪い人じゃないことは分かっているけど
人に会いたくないのは変わらない
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 63人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りん(プロフ) - とても感動しました。本当に素敵な作品でした、これからも応援しています！ (2021年7月19日 12時) (
レス) id: 455f01eeaa (このIDを非表示/違反報告)
*のの(プロフ) - みかんさん» 分かりました！わざわざコメントありがとうございます！ (2020年11月9日 22時) (レス) id: 271830f170 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - これも残して欲しいです！ (2020年11月8日 21時) (レス) id: f236b70c3f (このIDを非表示/違反報告)
*のの(プロフ) - @さん» ありがとうございます！違う作品も読んだらぜひコメントください！ (2019年9月23日 9時) (レス) id: 139f9ac550 (このIDを非表示/違反報告)
@ - とても感動しました！！こんな素敵な作品を作ってくれてありがとうございました。違う作品も見てみたいです！！ (2019年9月22日 22時) (レス) id: 298780871c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鳴海 帆南 | 作成日時：2019年6月6日 16時
