生きる希望を【Fischer's】

21話 ページ21

貴「ここで大丈夫！本当にありがとう！すごく楽しかった！」
病院の前まで送ってもらった

ｼﾙｸ「こちらこそありがとな！また行こうぜ！」
ﾏｻｲ「また来るね」

もう一度お礼をして部屋に向かった
まだ面会時間だったから館内は明るかった

眩しくって涙が出た
悲しくなんてない

ただ本当に眩しかっただけ
グラッと視界が歪む

壁に手をついて鞄から薬を出した
手のひらに2錠

小さな白い粒が乗っているのを確認して口に含んだ
こんな小さなものに頼っていないと生きていけない

そんな自分がいや
情けないや…

病室につくと直ぐにベッドに入る
楽しい時間はあっという間なのにな…

検査の結果
悪いってわかってる

半年と聞かされた命も
今はもっと短くなっている




「Aちゃん、検査の結果なんだけど…覚悟を決めて欲しい」
わかっていた

心臓がキュッと締まる
痛い、いたい、イタイ

「あの時は半年って言ったけど…もうあと3ヶ月くらいだ」
もうすぐで8月になる

ちっとも面白くなんてないのに
乾いた笑いがこぼれた

「ねぇ、Aちゃん…手術、受けるきはない？」
弾かれたように顔を上げる

成功率は15%未満
成功すれば再発する可能性はあれど生き残れる

今後何年も
何十年も

再発しても薬をつかえば治る程度だ
こう聞いたらメリットしかないのかもしれないけど

15%って…どのくらい低いか想像はつく？
半分以上の確率で失敗する

半分どころかその半分以下
15%が低いことは分かるけど

どのくらいなのか
そんなの想像なんてつかない

失敗すれば私の命は
残り3ヶ月の命は…

貴「嫌です…手術は受けたくない…」
「Aちゃん…」

残り3ヶ月
それくらいなら我慢出来る

大丈夫
だってマサイと出会う前は1人だったもの

貴「失礼しました」
部屋を出たとき心臓が止まるかと思った

そこに…
マサイがいたから

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