五 ページ6
シャオロンは、何も知らない。
私があなたと常に装置を繋げていること。
私はあなたの視覚が常に見えていること。
私はあなたに本当に感謝していること。
それに対して、私はなんでも知っている。
私は料理が下手なこと。
私は優しいこと。
私は神様だということ。
今、部屋の鍵は開いていること。
扉の前には、シャオロンの上司が立っていること。
私は今から…………叱られること。
ガチャ
｢……おい、お前がシャオロンにひっついてる奴やな？｣
｢………中央二番隊書記長。肩書きがあるといいですね。｣
今すぐにでも斬ってしまいたいという気持ちが抑えきれない、顰めた顔。
｢俺のこと知っとるんや。そんなんはどーでもええねん。
お前、ここで死ぬかシャオロンを呼ぶか選べ。｣
｢……神は死にません。｣
｢わかっとる。わかった上で言ってるんや。｣
ギリ、と彼の剣を持つ手が揺れた。
私はソファに座り、窓の外を見た。
｢私はなんでも知っています。シャオロンのことならなんでも。
彼が今、悪魔と戦っていることも。｣
｢は？｣
空中で悪魔の攻撃を躱しながら、必死に食らいつこうとするシャオロン。
ですが、街中は戦いづらい様で、彼は傷だらけです。
痛そう。可哀想に。
もう少しの辛抱ですからね。
｢私は彼を助ける方が最優先だと思います。
私は逃げも隠れもしません。早く行ってきたらどうです？
シャオロンは、もうすぐ………｣
｢〜〜〜ッ！！！｣
バタン、と乱暴に扉を閉めて、中央二番隊書記長は出ていった。
ドアに付けていた水道会社のマグネットが落ちてしまった。
玄関横の棚に飾ってあった花瓶が割れてしまった。
……そう、逃げも隠れもしません。しませんよ。
シャオロンの視界に彼が写って、彼がシャオロンに触れた。
…あなたが覚えていないだけで。
ほんの一瞬、シャオロンの体を乗っ取って、彼の記憶を書き換えた。
よかったね、シャオロン。
まだ幸せな生活は続けられますよ。
あとはあの男を片付けられたらいいのですけど。
嬉しいですか？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鶏にこみﾓﾘﾓﾘ | 作成日時：2022年11月25日 22時
