episode１４ ページ6
ごしごしと腕で顔を擦っていれば、工は俺の腕にそっと手を触れた。
五色「和真、俺、学校行ってくる」
『あ、ああ。今日からだっけ』
五色「部活もしてくるから、帰り、ちょっと遅くなる」
『うん。サボるなよ』
五色「なんかあったら連絡して。いつでも電話に出るから」
『はいはい』
俺を心配する工と一緒に部屋を出て、階段を降りて玄関まで共にする。
久しぶりに制服に着替えて、重いスポーツバッグを肩にかけ、工にとって普段と変わらない日常が戻った気がした。
五色「本当になんかあったら電話しろよ」
『わーってる。心配すんな』
五色「心配するに決まってるだろ」
眉を寄せてむすっと唇を尖らせる工に、俺は右手を工の頭の上に置くと、ぽんぽん、と軽く頭を撫でた。
『ありがと、工』
五色「……うん」
『行ってらっしゃい。気を付けてな』
五色「絶対…連絡しろよな」
『約束する』
工は頭の上に乗った俺の手を両手で握ると、小さな声で「行ってきます」と言い、静かに玄関から出ていった。
顔の横で片手を振って工を見送った後、俺はその手を力無く落とす。
しん、と静まり返った玄関。
きっと、リビングには工のお父さんとお母さんがいると思うけど、やけに静かに感じた。
工が居なくなった家。
それは今の俺にとって、誰もいない家と同じようで。
俺はその場にすとんとしゃがみこむと、両手で頭を抱えて顔を伏せた。
『………早く帰ってこい、工』
*
工を見送ったあと、工の部屋に戻った俺は、また夕方まで工のベッドで深い眠りに陥った。
夕方、突然ぱちんと目が覚めた俺は、恐る恐るリビングへ向かうと、そこには工のお父さんとお母さんがいて安心した。
良かった、ひとりじゃない。
「いっぱい寝た？」と優しく声をかけてくれる工のお母さんと、「久しぶりにゆっくり眠れたんじゃないか？」と笑みを向けてくれる工のお父さん。
親戚達と集まると鬼のような顔をして言い争いをする二人だけど、こうして俺には優しく声をかけてくれたり、笑ってくれたりするから好きだ。
シャワーを浴びて、工の服を借りて着替えて、俺は荷物を取りにばあちゃんと俺が住んでいた家に行ってくると二人に告げた。
車を出すよ、とお父さんは言ってくれたけど、俺は歩いていくと言って家を出た。
たくさん寝た。
寝すぎたくらい、寝た。
まだ頭はぼーっとするけれど、たくさん寝たおかげで体が少し楽になった気がする。
→
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星 - 磯野さんの作品好きすぎて何回も何回も読んでます！更新楽しみに待ってます！ (7月3日 20時) (
レス) @page49 id: 9063271731 (このIDを非表示/違反報告)
尚(プロフ) - いつでもいい。待ってます。2人の幸せを繋いでください。 (6月26日 1時) (レス) @page49 id: 271ac13c56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーき(プロフ) - 磯野さんの作品大好きです！！白布くん推しなのでほんと最高です！！更新すごく楽しみですが磯野さんのペースで頑張ってください！ (2022年9月17日 20時) (レス) id: fc31c82ef2 (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - 彩都さん» こんにちは、彩都様！この度もコメントありがとうございます。いつも読んでくださりまして、とても嬉しいです！これからも宜しくお願い致します！ (2022年8月25日 14時) (レス) id: 017e5977a2 (このIDを非表示/違反報告)
彩都(プロフ) - 続編，おめでとうございます！！これからの展開がとても気になります！磯野様のペースで更新してください！応援しています！(*´꒳`*) (2022年8月24日 20時) (レス) @page4 id: 11dbb3cd4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：磯野
| 作成日時：2022年8月24日 20時
