episode２３ ページ49
『………は？』
白布「なに期待してんだよ」
『…ちゅ、ちゅーしてくるんじゃねぇの？』
白布「誰がキスするって言った？」
『は……はァ！？今の流れはちゅーだろ！？』
白布「みんなの目の前で俺がするわけねぇだろバァーカ」
俺は屈んだ腰を伸ばして立つと、掴んでいた和真の髪から手を離して、べ、と赤い舌を出した。
ぐぬぬ、と両手で握り拳を作り、顔を真っ赤にしながら俺を睨み上げている和真を見下ろす。
前よりは少しだけ、元気になったかな。
前はもっと死にそうな顔をしていた和真。
きっと、おばあさんの日記を見つけて、それを読んで、多少なりとも前よりは元気になったんだと思う。
でもまだ、まだ和真は元の元気さとは違い。
やっぱり辛そうで、苦しそうで、悲しそうで。
それはきっと、自分が九州に行かなきゃ行けない──はたまた、バスケを辞めてアルバイトをしながら一人暮らしをしなければならない──という悩みを抱えているからだろう。
俺はチラ、と黒目を動かして周りを見た。
周りには和真に会いに来た生徒達で溢れ返っている。
久しぶりに学校にきた和真と話したくてうずうずしている生徒や、密かに和真に想いを寄せている女子生徒が胸の前で手を握りながら和真を見つめている。
みんな、和真と話したいよな。
みんな、和真の笑顔を見たいよな。
────でも、わりぃ。
────和真は俺のだ。
白布「行くぞ」
『うおっ』
和真の腕を掴んだ俺は、無理矢理腕を引っ張ると椅子から立たせた。
グイグイと腕を引っ張り、和真を教室の外へと連れ出そうと歩き始める。
『ま、まって！どこ行くの賢二郎！俺、今日は花に水やる係が…！』
白布「おー。冗談言えるまで元気になったか和真」
『てっちゃんに怒られちゃう！花に水やるために学校に来たのにぃぃ…！』
白布「あっそ。俺に会いに来たわけじゃないんだな」
『ああごめんて！怒るなよ賢二郎！つか腕が…！腕が痛い！おま、力強いッ！」
白布「ふざけた冗談言うお前が悪い」
和真の腕を掴む手に力を入れては、和真は俺から引きずられながらぎゃあぎゃあと叫ぶ。
俺は周りの視線を感じながらも、小さな子供のように騒ぐ和真を教室から連れ出し、ある部屋へと向かった────。
to be continued
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←episode２３
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星 - 磯野さんの作品好きすぎて何回も何回も読んでます！更新楽しみに待ってます！ (7月3日 20時) (
レス) @page49 id: 9063271731 (このIDを非表示/違反報告)
尚(プロフ) - いつでもいい。待ってます。2人の幸せを繋いでください。 (6月26日 1時) (レス) @page49 id: 271ac13c56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーき(プロフ) - 磯野さんの作品大好きです！！白布くん推しなのでほんと最高です！！更新すごく楽しみですが磯野さんのペースで頑張ってください！ (2022年9月17日 20時) (レス) id: fc31c82ef2 (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - 彩都さん» こんにちは、彩都様！この度もコメントありがとうございます。いつも読んでくださりまして、とても嬉しいです！これからも宜しくお願い致します！ (2022年8月25日 14時) (レス) id: 017e5977a2 (このIDを非表示/違反報告)
彩都(プロフ) - 続編，おめでとうございます！！これからの展開がとても気になります！磯野様のペースで更新してください！応援しています！(*´꒳`*) (2022年8月24日 20時) (レス) @page4 id: 11dbb3cd4a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：磯野
| 作成日時：2022年8月24日 20時
