episode２０ ページ32
「ああ、聞いてない。美濃のいとこと言ったら、一年の五色工くんだろ？五色くんのご両親はまだ、学校に来てないぞ」
『てっちゃん…俺、どうしてもここから離れたくないんだ…俺には、大好きな人がいるんだ…離れたくない、ここにいたい…みんなと一緒にいたいし、大好きな人とも…ずっと一緒にいたいんだよ…っ』
喉を鳴らしながら涙を溢れさす。
周りにいた先生達も、俺の話を聞いては苦しげな表情を浮かべていた。
『…てっちゃんお願い、…退部届け下さい』
「俺は、美濃にバスケを辞めて欲しくない」
『じゃあどうしろって言うんだよ。一人暮らししなきゃ…一人暮らしを選ばなきゃ……俺、ここにはいられないんだよ！？』
「他に方法がないか、一緒に考えよう美濃」
『時間が無いんだよ！俺には時間が無い！こうしてる間も、きっと……工のお父さんとお母さんは話し合ってる……俺の今後、住む場所について話し合ってる……勝手に決められるんだ…お願い、お願いだから』
俺は床にぺたんと座り込むと、両手で顔を覆いながら情けない声を出した。
『退部届け……ください…先生』
俺がてっちゃんを「先生」と呼んだのは、いつぶりだろうか。
てっちゃんは俺が一年生の時から担任で、付き合いは二年目になる。
入学したての頃、一度だけてっちゃんの事を「先生」と呼んだ気がするけれど、それ以来だ。
消え入りそうな声で「先生」と言った俺の声に、てっちゃんは眉間にしわを寄せると、俺の頭の上に手を置いた。
普段は俺に厳しい、てっちゃん。
すぐ怒るし、すぐ俺を追いかけるし、すぐ校内放送で呼び出しをするてっちゃん。
でも、そんな担任の先生のてっちゃんは、厳しい時は厳しいけれど、本当は優しい事を俺は知っている。
こうして、俺が辛い時に頭を撫でてくれるのだって、てっちゃんの優しさだって分かってる。
てっちゃんの手が、温かい。
余計に涙が出てしまい、職員室の床を涙で濡らす。
「美濃、本気なんだな」
『本気だってば。本気じゃなかったら、こんなこと、言わねぇよ』
「後悔しないんだな」
『後悔……、後悔は…』
顔を覆う手の下で、俺は唇を噛み締めた。
てっちゃん。
俺、後悔するよ。
バスケットボールをやめて、後悔するよ。
だって、本当は辞めたくない。
ずっとずっと、バスケットボール続けたい。
→
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星 - 磯野さんの作品好きすぎて何回も何回も読んでます！更新楽しみに待ってます！ (7月3日 20時) (
レス) @page49 id: 9063271731 (このIDを非表示/違反報告)
尚(プロフ) - いつでもいい。待ってます。2人の幸せを繋いでください。 (6月26日 1時) (レス) @page49 id: 271ac13c56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーき(プロフ) - 磯野さんの作品大好きです！！白布くん推しなのでほんと最高です！！更新すごく楽しみですが磯野さんのペースで頑張ってください！ (2022年9月17日 20時) (レス) id: fc31c82ef2 (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - 彩都さん» こんにちは、彩都様！この度もコメントありがとうございます。いつも読んでくださりまして、とても嬉しいです！これからも宜しくお願い致します！ (2022年8月25日 14時) (レス) id: 017e5977a2 (このIDを非表示/違反報告)
彩都(プロフ) - 続編，おめでとうございます！！これからの展開がとても気になります！磯野様のペースで更新してください！応援しています！(*´꒳`*) (2022年8月24日 20時) (レス) @page4 id: 11dbb3cd4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：磯野
| 作成日時：2022年8月24日 20時
