episode13 ページ4
『泣くなよ、工』
五色「だって……っ、和真、辛そうで…」
『辛くねぇよ』
五色「嘘つき…っ、辛いの、分かってるんだからな」
『分かってくれるんだ、工。優しいな』
五色「ちゃんと分かってる。俺、俺…っ、和真のこと、ずっと見てる、大好きだから…ッ」
知ってるよ。
工が俺を想ってくれてること。
知ってる。知ってるんだ。
五色「さっきも白布さん…和真に会いたいって言ってて…俺がそばに行く!って言って家の中に入ろうとしたけど…俺、止めた」
『……止めたんだ』
五色「和真に無理して笑って欲しくない」
『俺のこと考えてくれたんだ、工』
五色「通夜が始まる前、誰にも会いたくないって和真言ってたし…それに、無理して笑ってたの……俺、知ってるんだからな」
『バレちゃってたか』
五色「分かるに決まってるだろ!俺がどれほどお前のこと見てるか知っ……、ッ!!」
俺はベッドから体を起こすと、両腕を伸ばし、工の首に両腕を巻き付けて抱き着いた。
ぱちぱち、と瞬きを繰り返す工。
俺はぎゅううううっと工にしがみつくように抱き締めた。
五色「和真…」
『なあ、工。ばあちゃんが一生懸命守ったこの家、どうすると思う』
五色「そ、それは…」
『全部、無くなるのかな』
五色「……無くなると思う」
『そっか』
五色「……うん」
『…工』
五色「ん」
『抱きしめて』
五色「えっ」
『早く』
五色「あっ」
工は俺の背中に腕を回すと、力を込めてぎゅっと抱きしめてくれた。
五色「和真…」
『絶対俺より先に死ぬなよ、工』
五色「死なない。俺、長生きするから」
『約束な』
五色「和真との約束は絶対守る」
俺は瞼を閉じると、再び静かに涙を流しながら工の首に回した腕に力を込めた。
工も静かに涙を流しながら、俺の体を抱き締め続けた。
To be continued
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星 - 磯野さんの作品好きすぎて何回も何回も読んでます!更新楽しみに待ってます! (7月3日 20時) (レス) @page49 id: 9063271731 (このIDを非表示/違反報告)
尚(プロフ) - いつでもいい。待ってます。2人の幸せを繋いでください。 (6月26日 1時) (レス) @page49 id: 271ac13c56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーき(プロフ) - 磯野さんの作品大好きです!!白布くん推しなのでほんと最高です!!更新すごく楽しみですが磯野さんのペースで頑張ってください! (2022年9月17日 20時) (レス) id: fc31c82ef2 (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - 彩都さん» こんにちは、彩都様!この度もコメントありがとうございます。いつも読んでくださりまして、とても嬉しいです!これからも宜しくお願い致します! (2022年8月25日 14時) (レス) id: 017e5977a2 (このIDを非表示/違反報告)
彩都(プロフ) - 続編,おめでとうございます!!これからの展開がとても気になります!磯野様のペースで更新してください!応援しています!(*´꒳`*) (2022年8月24日 20時) (レス) @page4 id: 11dbb3cd4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:磯野 | 作成日時:2022年8月24日 20時