episode１８ ページ21
白布「嬉しい、俺のことも書いてくれて」
『俺が小学生の時から、ずっと書いてくれてる』
白布「思い出のノートだ」
『俺、知らなかった。ばあちゃんが毎日、日記を書いてるなんて』
目を細める和真の顔を見た後、俺はパラパラとページを捲り、昔の日記に目を通した。
確かに、小学校、中学校時代の和真の事がずらずらと書かれている。
おばあさんがいかに和真のことを愛しているかが分かる。
気持ちが温かくなる。
自然と笑顔になる。
ふたりで日記に目を通しながら読んでいれば、パサッ、と一枚の便箋がページの隙間から俺の膝の上に落ちた。
白布「なんだこれ」
『わかんね。開いてみて』
膝の上に落ちた一枚の便箋を拾い、ゆっくりと広げてみる。
そこには「和真とケンジロウちゃんへ」と題名が書かれていて、3行の日記よりも長く、文が書かれていた。
俺と和真は顔を見合わせる。
おばあさんが、和真と俺に書いた手紙だ。
『……賢二郎、読んで』
白布「うん」
俺はごくりと唾を飲み込むと、そこに書かれている文字をゆっくりと言葉に出して読み始めた。
────和真とケンジロウちゃんへ。
まずは、この手紙を見つけてくれて、ありがとう。
この手紙を見つけたということは、わたしはもうこの世界にはいないのかもしれないね。
寂しい思いをさせてしまって、ごめんなさい、和真。
どうかばあちゃんを恨まないでおくれ。
和真がケンジロウちゃんを家に連れてきたとき、ばあちゃんは思ったよ。
ああ、この子が和真を幸せにするんだなあ、と。
ばあちゃんは嬉しかった。
ばあちゃんは幸せだった。
和真のことを幸せにしてくれる人と会えて、お話をすることができて、一緒にご飯を食べることができて、本当に幸せだ。
ケンジロウちゃん、何も悩まないでおくれ。
うちの和真は、ケンジロウちゃんのことが大好きだ。
うちの和真は、家に帰ってくるといつもケンジロウちゃんのお話を楽しそうにしてくれるんだ。
ばあちゃんは、和真からケンジロウちゃんのお話を聞くのが、大好きだ。
これからうちの和真を、よろしく頼んだよ。
和真には、ケンジロウちゃんしかいないよ。
どうか和真を幸せにしておくれ。
→
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星 - 磯野さんの作品好きすぎて何回も何回も読んでます！更新楽しみに待ってます！ (7月3日 20時) (
レス) @page49 id: 9063271731 (このIDを非表示/違反報告)
尚(プロフ) - いつでもいい。待ってます。2人の幸せを繋いでください。 (6月26日 1時) (レス) @page49 id: 271ac13c56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーき(プロフ) - 磯野さんの作品大好きです！！白布くん推しなのでほんと最高です！！更新すごく楽しみですが磯野さんのペースで頑張ってください！ (2022年9月17日 20時) (レス) id: fc31c82ef2 (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - 彩都さん» こんにちは、彩都様！この度もコメントありがとうございます。いつも読んでくださりまして、とても嬉しいです！これからも宜しくお願い致します！ (2022年8月25日 14時) (レス) id: 017e5977a2 (このIDを非表示/違反報告)
彩都(プロフ) - 続編，おめでとうございます！！これからの展開がとても気になります！磯野様のペースで更新してください！応援しています！(*´꒳`*) (2022年8月24日 20時) (レス) @page4 id: 11dbb3cd4a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：磯野
| 作成日時：2022年8月24日 20時
