episode17 ページ15
(白布 side)
────待ってろ、和真。
部活が終わり、太一と自主練習をする前に一度部室に戻った俺は、ロッカーの中に入れたスマホを手に取る。
画面に何件かメッセージが表示されているけれど、その中に和真の名前は無かった。
俺の後をついてきた太一も部室へ入ると、「美濃から連絡来てた?」と俺に聞く。
白布「いや」
そう言いながら首を横に振る俺に、太一は「そっか」と言いながら肩を落とした。
白布「今あいつ、家にいるのに」
川西「家?」
白布「おばあさんと暮らしてきたあの家」
川西「まじ?近いじゃん。会いに行かねぇの?」
白布「……」
会いに行きたいに決まっている。
学校から和真の家まで、全速力で走ったらそれほど遠くない。
ものの数十分で、和真の家に着く事は知っている。
会いに行きたいけど、会いに行けない。
それは、今、和真はひとりになりたいかもしれないから。
誰とも会いたくないのかもしれないから。
────正直、五色から言われた「和真をひとりにさせてあげてください!」の言葉が、俺の中で引っかかっていた。
俺がもしここで、勝手に和真に会いに行ったら。
断りもなく、勝手に和真の家に行ったら。
また、和真に無理矢理笑顔を作らせてしまう気がして。
白布「……行かない」
低い声でそう言えば、俺はロッカーの中にスマホをそっと置いた。
白布「和真から連絡が来るまで、行かないし会わない」
川西「……そっか」
白布「自主練するぞ、太一」
川西「おう」
切り替えようと両手で両頬をぱちん!と叩き、ロッカーの扉を閉める。
ロッカーの中に入れたスマホが気になるけれど、気持ちを切り替えよう。
太一と自主練習をして、セッターの腕に磨きをかけなければ。
「よし」と呟いた俺は、太一と一緒に部室から出ようとした────その時。
川西「待て賢二郎」
突然、ピタリと足を止めた太一が、俺の腕を掴み引き止めた。
頭の上に疑問符を浮かべながら振り返れば、太一は目を閉じて耳を澄ます。
→
66人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星 - 磯野さんの作品好きすぎて何回も何回も読んでます!更新楽しみに待ってます! (7月3日 20時) (レス) @page49 id: 9063271731 (このIDを非表示/違反報告)
尚(プロフ) - いつでもいい。待ってます。2人の幸せを繋いでください。 (6月26日 1時) (レス) @page49 id: 271ac13c56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーき(プロフ) - 磯野さんの作品大好きです!!白布くん推しなのでほんと最高です!!更新すごく楽しみですが磯野さんのペースで頑張ってください! (2022年9月17日 20時) (レス) id: fc31c82ef2 (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - 彩都さん» こんにちは、彩都様!この度もコメントありがとうございます。いつも読んでくださりまして、とても嬉しいです!これからも宜しくお願い致します! (2022年8月25日 14時) (レス) id: 017e5977a2 (このIDを非表示/違反報告)
彩都(プロフ) - 続編,おめでとうございます!!これからの展開がとても気になります!磯野様のペースで更新してください!応援しています!(*´꒳`*) (2022年8月24日 20時) (レス) @page4 id: 11dbb3cd4a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:磯野 | 作成日時:2022年8月24日 20時