episode１６ ページ13
俺はそのノートに顔を近づけ、一字一句見逃さないように日付と文章を目で読んだ。
────8月16日。
先生から電話があった。
和真が小学校の窓から飛び降りようとしたらしい。
生きていてくれて、ありがとう。
『……俺が死のうと思った日だ』
────10月10日。
和真のバスケットボールクラブの試合。
試合中に転んで泣いてしまった。
でも最後まで頑張ってたね。和真はえらい。
『顔面からすっ転んだ時のだ…』
────3月13日。
卒業式。
わたしがプレゼントをしたランドセルを背負うのも、今日で最後だね。
和真のランドセルはぼろぼろ。
そのランドセルを見るたびに、毎日元気よく遊んでいたんだなと思うと、嬉しいよ。
『……そっか。あのランドセルって、ばあちゃんが買ってくれたんだ』
────忘れていた記憶が、今、蘇る。
────7月21日。
うるせえババア。
つらい一言。
でもばあちゃんは、和真が好きさ。
『………ばあちゃん、やっぱり傷ついてたんだ』
────9月2日。
和真が家に帰ってこない。
心配。早く帰ってきてください。
『……家出した時だ』
────9月3日。
和真が帰ってきた。
ご飯を食べさせたら、泣いていた。
帰ってきてくれて、ありがとう。
『……ばあちゃん……っ』
じわり、と目尻に溜まった涙がぽたりとノートの上に落ち、濡らしていく。
────12月24日。
和真は友達とクリスマスパーティ。
来年はわたしも和真と、クリスマスを過ごしたいね。
『あ、……あっ、ううう』
俺はその場にぺたんと座り込むと、カタカタと肩を震わせながら涙をこぼす。
────2月20日。
バスケットボールの試合を見に行ったら、和真に怒られてしまった。
見に来るな。
どうしても見たくて、ごめんなさいね和真。
『ごめん…っ、ばあちゃん、ごめん…ごめん』
────4月27日。
和真の14歳の誕生日。
和真がわたしにオルゴールを買ってくれた。
今日は和真の誕生日なのに。
幸せにしてくれて、ありがとう。
『うう…っ、う、…うう』
俺は震える手をポケットの中に入れる。
大粒の涙を溢れさせながら、震える手でポケットの中からスマホを取り出すと、画面を涙で濡らしながらある人物の電話番号を探し始めた。
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星 - 磯野さんの作品好きすぎて何回も何回も読んでます！更新楽しみに待ってます！ (7月3日 20時) (
レス) @page49 id: 9063271731 (このIDを非表示/違反報告)
尚(プロフ) - いつでもいい。待ってます。2人の幸せを繋いでください。 (6月26日 1時) (レス) @page49 id: 271ac13c56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーき(プロフ) - 磯野さんの作品大好きです！！白布くん推しなのでほんと最高です！！更新すごく楽しみですが磯野さんのペースで頑張ってください！ (2022年9月17日 20時) (レス) id: fc31c82ef2 (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - 彩都さん» こんにちは、彩都様！この度もコメントありがとうございます。いつも読んでくださりまして、とても嬉しいです！これからも宜しくお願い致します！ (2022年8月25日 14時) (レス) id: 017e5977a2 (このIDを非表示/違反報告)
彩都(プロフ) - 続編，おめでとうございます！！これからの展開がとても気になります！磯野様のペースで更新してください！応援しています！(*´꒳`*) (2022年8月24日 20時) (レス) @page4 id: 11dbb3cd4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：磯野
| 作成日時：2022年8月24日 20時
