episode16 ページ11
居間の襖を開く。
居間の襖を開けば、いつもなら「賢二郎」と言いながら目尻を垂らすばあちゃんがいたのに。
今はもう、居なくて。
また寂しさが込み上げては、俺は頭をぶんぶんと左右に振って寂しさを消した。
ばあちゃんが今まで座っていた定位置に腰を下ろして座り、抱えていた教材を学校指定の鞄の中に詰め込む。
『あとは……なにが必要だ?体操着と練習着か』
パタパタと部屋の中を走り回り、学校に必要な物を学校指定の鞄とスポーツバッグの中に押し込んでいく。
思ったよりも時間がかかってしまい、そして、最近体を動かしていなかったからか、少し走り回っただけで息切れがしてしまった。
『はぁ、疲れた…』
ふう、と息を吐きながら胡座をかいて座り、戸棚に寄りかかった────その時。
パタン。
本棚から音がした。
『ん?』
その本棚は、ばあちゃんが若い時にコレクションとして集めていた童話の本がたくさん詰め込まれている。
俺も小学生の頃、寝る前に何冊か読んでもらった記憶がある。
その本棚から物音がし、ゴキブリでも現れたのかもと思った俺は、落ちていた雑誌を丸めて立ち上がった。
『成敗してやる…!!』
まだ姿を現していないゴキブリにそう唸るように言いながら、じりじりと本棚に近付く。
が、ゴキブリはいない。
どこを探してもいない。
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星 - 磯野さんの作品好きすぎて何回も何回も読んでます!更新楽しみに待ってます! (7月3日 20時) (レス) @page49 id: 9063271731 (このIDを非表示/違反報告)
尚(プロフ) - いつでもいい。待ってます。2人の幸せを繋いでください。 (6月26日 1時) (レス) @page49 id: 271ac13c56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーき(プロフ) - 磯野さんの作品大好きです!!白布くん推しなのでほんと最高です!!更新すごく楽しみですが磯野さんのペースで頑張ってください! (2022年9月17日 20時) (レス) id: fc31c82ef2 (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - 彩都さん» こんにちは、彩都様!この度もコメントありがとうございます。いつも読んでくださりまして、とても嬉しいです!これからも宜しくお願い致します! (2022年8月25日 14時) (レス) id: 017e5977a2 (このIDを非表示/違反報告)
彩都(プロフ) - 続編,おめでとうございます!!これからの展開がとても気になります!磯野様のペースで更新してください!応援しています!(*´꒳`*) (2022年8月24日 20時) (レス) @page4 id: 11dbb3cd4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:磯野 | 作成日時:2022年8月24日 20時