episode2 ページ10
(男主side)
『ばあちゃーん!ただいまー!ばあちゃん!』
婆ちゃんに俺が帰ってきた事を伝えるように玄関の扉を豪快に開ける。
靴を脱ぎ散らかしたまま廊下をドスドスと音を立てながら歩く。
廊下にテレビの音が響いている事から、きっと婆ちゃんはいつもの居間に居るのだろう。
『婆ちゃん、ただいま!』
襖をスパァンッと開き、普段と同じ大きな声で叫べば、そこには────
「おやまぁ、帰ったんかい、和真」
普段と変わらない婆ちゃんが柏餅を食べていた。
俺は婆ちゃんの姿を確認して、ようやく安心する。
婆ちゃんはもう随分と年齢を重ねた高齢者だ。
足も目も耳も弱くなっているし、いつ倒れてもおかしくない身体をしている。
学校に行ってる時も、部活をしている時も、遊びに行っている時も、正直婆ちゃんの事は心配だ。
だからこうして、婆ちゃんの姿を自分の目で確認してこそ、ようやく安心出来るんだ。
『婆ちゃん、飯作るから柏餅おしまいな』
「ご飯はまだ食べてなかったのかい?てっきり賢二郎ちゃんと食べてくるかと思ってたんだがねぇ」
『賢二郎は寮の飯食うって。あそこ門限あるから夜遅くまで出歩いちゃだめなんだ』
「あらあら、寮のご飯は美味しいのかねぇ」
『さあ?』
テーブルの上に置いてある柏餅を取り上げると、俺は台所へと向かった。
『婆ちゃーん、かぼちゃの煮物でいい?』
家に帰ったら俺と婆ちゃんは二人きり。
家事をするのは、ほぼ俺だ。
でも、嫌とは思わない。
家事をするのは面白いし、楽しいし、何よりも婆ちゃんのためになる。
腰にエプロンを巻き付けて台所に立つと、俺は普段と変わらず夕食作りを始めた。
そう、「普段と変わらず」と思っていた。
誰も想像なんてつかないだろう。
────これから悲劇が起こること、を。
to be continued
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連斗 - 磯野さん!退院おめでとうございます!この作品の投稿!ずっと待ってました!これからも応援させていただきます!無理なく頑張ってください! (2022年10月22日 21時) (レス) id: c0be3ab978 (このIDを非表示/違反報告)
バナナくん(プロフ) - 磯野さんだ〜!!まず退院おめでとうございます!久しぶりに占ツク開いてみたら通知欄に磯野さんの名前があってめっっっっちゃ嬉しかったです!今後も自分のペースで頑張ってください! (2022年9月2日 1時) (レス) @page48 id: 5cd13d94ad (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - 彩都さん» 彩都様、ご無沙汰しています!いつもいつも私の作品に目を通して下さりましてありがとうございます!今回はこの時間帯に更新します、とご報告出来ませんがなるだけ毎日更新致しますね。よろしくお願い致します! (2022年8月20日 0時) (レス) id: 017e5977a2 (このIDを非表示/違反報告)
彩都(プロフ) - おかえりなさい!退院?おめでとうございます!待ってました!磯野様のペースで更新してください!楽しみにしています! (2022年8月20日 0時) (レス) @page10 id: 11dbb3cd4a (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - ゆぅさん» ゆぅ様、大変長らくお待たせ致しました。随時更新していきますので、よろしくお願い致します! (2022年8月19日 23時) (レス) id: 017e5977a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:磯野 | 作成日時:2022年8月19日 21時