episode11 ページ42
薄暗くなった18時前。
ぼんやりと玄関に浮かぶ灯り。
喪服を着た人達が玄関に立っていて、監督を見るなり深深と頭を下げた。
きっと、五色のお父さんとお母さんだ。
五色のお母さんは涙ぐんでいてハンカチで目元を拭っていて、監督も深深と頭を下げながら会話をしている。
俺は靴を脱いで中へ入ると、パタパタと小走りで廊下を走る音が聞こえた。
勢い良く振り返った直後、「白布さん!」と聞き慣れた声がし、俺と目と彼の目が合った。
ぱちん、と目が合った彼は────五色。
五色は俺と太一を交互に見ると、小さな声で「ありがとうございます」と言い、弱々しく笑みを浮かべた。
五色「ふたりとも、来てくれたんですね」
川西「大変だったな、五色」
五色「大変です。もう毎日が大変です。でも、明後日から学校には行くんで。明日は葬式だから…明日まで休みます。すいません」
太一は五色の頭の上に片手を乗せると、ぽんぽん、と優しく撫でた。
五色は唇を噛み締めながら、今にも泣きそうな顔で太一から頭を撫でられていた。
俺はふと、辺りを見回す。
和真はいないのかな、と。
「電話出来ない。LINEも返せない」と言われてから、俺は和真と連絡をとることをやめていた。
今和真は忙しいだろうし、心にも余裕はないだろうし。
だから、和真が落ち着くまで、待つ事にしていた。
五色「ばあちゃんに、会ってあげて下さい」
そう言った五色に連れられ、向かった場所は、以前、俺と太一、五色と和真が四人で寝泊まりをした畳の部屋。
その広い部屋に、喪服を着た人達が正座をして座っていた。
きっと、おばあさんを知る人達や、親戚の人達だろう。
腰が曲がった年配の方も来ている事から、きっと近所の人達も来ているに違いない。
焼香台の上には、満面な笑みを浮かべているおばあさんの遺影があって。
俺は焼香台の前で足を止めると、その遺影を見上げた。
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連斗 - 磯野さん!退院おめでとうございます!この作品の投稿!ずっと待ってました!これからも応援させていただきます!無理なく頑張ってください! (2022年10月22日 21時) (レス) id: c0be3ab978 (このIDを非表示/違反報告)
バナナくん(プロフ) - 磯野さんだ〜!!まず退院おめでとうございます!久しぶりに占ツク開いてみたら通知欄に磯野さんの名前があってめっっっっちゃ嬉しかったです!今後も自分のペースで頑張ってください! (2022年9月2日 1時) (レス) @page48 id: 5cd13d94ad (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - 彩都さん» 彩都様、ご無沙汰しています!いつもいつも私の作品に目を通して下さりましてありがとうございます!今回はこの時間帯に更新します、とご報告出来ませんがなるだけ毎日更新致しますね。よろしくお願い致します! (2022年8月20日 0時) (レス) id: 017e5977a2 (このIDを非表示/違反報告)
彩都(プロフ) - おかえりなさい!退院?おめでとうございます!待ってました!磯野様のペースで更新してください!楽しみにしています! (2022年8月20日 0時) (レス) @page10 id: 11dbb3cd4a (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - ゆぅさん» ゆぅ様、大変長らくお待たせ致しました。随時更新していきますので、よろしくお願い致します! (2022年8月19日 23時) (レス) id: 017e5977a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:磯野 | 作成日時:2022年8月19日 21時