episode3 ページ12
カタカタと震える体を懸命に動かし、立ち上がろうとしても震えて全く立ち上がる事が出来ない。
はぁはぁ、と息は乱れ、俺は床を這いながら自分の部屋へ向かった。
────ばあちゃんが。
『どうしよ…ばあちゃ…』
────ばあちゃんが、ばあちゃんが。
『救急車……きゅ…』
────ばあちゃんが、ばあちゃんがばあちゃんが。
『救急車…はやく、はやく…っ』
────ばあちゃんが、死んじゃう。
カタカタと両手が震えてなかなか3桁の数字を打つ事が出来ず、何度も手の上からスマホが床に落ちる。
震える指でなんとか「119」の3桁の数字を打つ事ができれば、スマホの向こう側から聞こえる真剣な男性の声に俺は必死に声を上げた。
『すぐにきて…!ばあちゃんが、ばあちゃんが倒れてっ!はやく、早く!ばあちゃんが死んじゃうよ!!』
落ち着いた男性の声を無視し、必死に声を上げ続ける。
心臓が狂ったように早く動く。
息が出来ない、全身が寒い。
なんとか住所を伝えきれば、俺はスマホを片手に持ち、テーブルを支えになんとかその場に立つ事が出来た。
カタカタと震える脚で廊下を歩き、再び台所へ向かえば、やはりそこには────床に仰向けに倒れているばあちゃんの姿が。
『ばあちゃ……なんで…なんでだよ…』
台所の壁に手をつき、ゆっくりとばあちゃんに近寄れば、ぺたんと床に力無く座る。
震える手でばあちゃんの腕を掴んだ瞬間、
『……ッ!!!!』
普段よりも────冷たく感じた。
『や…やだやだ!やだ!ばあちゃん!!!…うっ、…う…ッ』
────もしかしたら、もう。
────もう、ばあちゃんはこの世には。
頭の中に浮かんだ「死」の文字に、俺は慌ててスマホを両手で持つと、着信履歴の中から「白布 賢二郎」の名前を拾い出す。
通話ボタンを押して耳に押し当てた────が、電子音が鳴るだけで賢二郎はなかなか電話に出ない。
『賢二郎、けんじ…ろ、助けて賢二郎、賢二郎…っ』
何度も何度も電話をかけては切り、電話をかけては切りを繰り返す。
『お願い賢二郎…助けて、…電話に出て…お願い、お願い…賢二郎…っ、賢二郎、賢二郎』
肩を震わせながら何度も賢二郎に電話をしたけれど、繋がらなかった。
賢二郎は寝る時にいつもマナーモードにするから、こんな明け方4時半過ぎに電話をかけたって当然出るわけがない。
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連斗 - 磯野さん!退院おめでとうございます!この作品の投稿!ずっと待ってました!これからも応援させていただきます!無理なく頑張ってください! (2022年10月22日 21時) (レス) id: c0be3ab978 (このIDを非表示/違反報告)
バナナくん(プロフ) - 磯野さんだ〜!!まず退院おめでとうございます!久しぶりに占ツク開いてみたら通知欄に磯野さんの名前があってめっっっっちゃ嬉しかったです!今後も自分のペースで頑張ってください! (2022年9月2日 1時) (レス) @page48 id: 5cd13d94ad (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - 彩都さん» 彩都様、ご無沙汰しています!いつもいつも私の作品に目を通して下さりましてありがとうございます!今回はこの時間帯に更新します、とご報告出来ませんがなるだけ毎日更新致しますね。よろしくお願い致します! (2022年8月20日 0時) (レス) id: 017e5977a2 (このIDを非表示/違反報告)
彩都(プロフ) - おかえりなさい!退院?おめでとうございます!待ってました!磯野様のペースで更新してください!楽しみにしています! (2022年8月20日 0時) (レス) @page10 id: 11dbb3cd4a (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - ゆぅさん» ゆぅ様、大変長らくお待たせ致しました。随時更新していきますので、よろしくお願い致します! (2022年8月19日 23時) (レス) id: 017e5977a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:磯野 | 作成日時:2022年8月19日 21時