episode３ ページ11
(男主side)
────幸せの日々に。
『んん…』
────それは突然、起きた。
『……何時』
重い瞼を開き、枕元に置いてあるスマホの画面を付けて時刻を確認すると、明け方の4時半を示していた。
あと1時間半、眠れる。
寝ぼけた頭でそう考えれば、はあ、とひとつ溜息をこぼし、重い体をゆっくりと起こした。
『お／し／っ／こ』
誰かに告げるわけでもなく、独り言のようにこぼせば、ぎし、とベッドを軋ませながら降りる。
ふああ、と大きな欠伸をこぼし、寝ぼけた頭でふらふらと廊下を歩いた。
夜中に起きてトイレに行く事は何度もある。
夜中に突然目覚める事は何度もある。
なかなか朝まで爆睡出来ない俺は、今日も寝ぼけた頭で廊下を歩き、トイレで用を済ませた。
『喉乾いた』
またもや誰かに告げるわけでもなく、そう独り言をこぼせば、台所へ向かった。
パチン、と赤い電球をつけ、しんと静まり返った台所の奥にある冷蔵庫へ足を進めようとした時────
『えっ』
俺の両足はピタリと止まった。
ぶわああ！！と全身から血の気が引き、呼吸が止まる。
今目の前に映っている光景が信じられなくて、目が乾いてしまう程に大きく見開いた。
『……ばあ、ちゃん？』
喉奥から無理矢理引っ張り出した震える声。
『ばあ、…ちゃんってば』
目の前に映る光景に、俺の全身がカタカタと小さく震え始めた。
『…っ、ばあちゃん！！おい！！ばあちゃんってば！！！なあ！！！』
全く動こうとしなかった重い足を無理矢理動かし、そこにある光景────床に倒れているばあちゃんの元へ駆け寄る。
すぐに床に膝をつき、倒れているばあちゃんの体をゆさゆさと揺らしながら大きな声を出した。
『ばあちゃん！ばあちゃん！！なあ！なんで…なんで！ねえ！！ばあちゃんしっかりして！！ばあちゃん！！』
声を裏返しながらそう叫ぶけれど、ばあちゃんは目を瞑ったまま何も言わない。
ぐったりとしていて、心做しか普段よりも体が重くて、なかなかばあちゃんを起こす事が出来ない。
『嘘だろ、ばあちゃん…ばあちゃんねえ、誰か…っ、誰か…ッ』
辺りをきょろきょろと見回すけれど、ここには俺とばあちゃんしかいない。
誰も助けてくれる人なんていない。
『きゅ…救急車…っ、きゅ…きゅう』
→
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
連斗 - 磯野さん！退院おめでとうございます！この作品の投稿！ずっと待ってました！これからも応援させていただきます！無理なく頑張ってください！ (2022年10月22日 21時) (
レス) id: c0be3ab978 (このIDを非表示/違反報告)
バナナくん(プロフ) - 磯野さんだ〜！！まず退院おめでとうございます！久しぶりに占ツク開いてみたら通知欄に磯野さんの名前があってめっっっっちゃ嬉しかったです！今後も自分のペースで頑張ってください！ (2022年9月2日 1時) (レス) @page48 id: 5cd13d94ad (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - 彩都さん» 彩都様、ご無沙汰しています！いつもいつも私の作品に目を通して下さりましてありがとうございます！今回はこの時間帯に更新します、とご報告出来ませんがなるだけ毎日更新致しますね。よろしくお願い致します！ (2022年8月20日 0時) (レス) id: 017e5977a2 (このIDを非表示/違反報告)
彩都(プロフ) - おかえりなさい！退院？おめでとうございます！待ってました！磯野様のペースで更新してください！楽しみにしています！ (2022年8月20日 0時) (レス) @page10 id: 11dbb3cd4a (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - ゆぅさん» ゆぅ様、大変長らくお待たせ致しました。随時更新していきますので、よろしくお願い致します！ (2022年8月19日 23時) (レス) id: 017e5977a2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：磯野
| 作成日時：2022年8月19日 21時
