episode 14 〜4/27の真実〜 ページ10
声を上げる俺を見た和真は、ぱちぱち、と瞬きを数回繰り返すと、「あー…」と言いながら目線を逸らす。
なんだよ。なんなんだよ。
俺に言えない場所にでも居たのかよ。
俺に言えない事でもしてたのかよ。
すごく心配した。
すごく不安だった。
それなのに、今目の前にいる和真はTシャツ1枚とハーフパンツ、そしてサンダルを履いていてとてもラフな格好で。
左手にはビニール袋と、右手にはまるで墓に備えるような花────えっ……花?
白布「花……?」
和真が右手に持っているものを見た俺は、眉間に寄せていたしわを解き、きょとんとした表情で和真を見た。
和真はどこか言いづらそうに目を逸らしたまま、小さな声で呟くように言った。
『………墓参り。母さんと父さんと、一緒にいたよ』
和真の口から出た言葉を聞いて、俺は小さな声で「ぇ…」と声を漏らすと、全身から力が抜けたような感覚に陥った。
『本当は昨日行かなきゃダメだったんだけど、昨日はほら。賢二郎が俺を祝ってくれたから。だから一日ずらして今日の学校帰りに行こうと思ってたんだけど、朝の天気予報じゃ今夜雨が降るって言ってたから。だから学校休んで朝から行ったんだけど……全然雨降んねぇじゃん!ってな』
ははは、と笑う和真だけれど、俺は全く笑えなかった。
むしろ「本当は昨日行かなきゃダメだった」の言葉に、俺は衝撃的な事実を理解した。
頭が真っ白になる。
全身から血の気が引いて、寒ささえ感じる。
白布「……待てよ、和真」
本当は昨日行かなきゃダメだった、って。
だって昨日は。
────和真の誕生日。
白布「……そんな、嘘だろ。嘘だろ…和真」
俺は持っていたスマホを地面に落とすと、両手で和真のTシャツを力強く掴んだ。
白布「昨日……昨日、行かなきゃダメだったってお前……」
『うん、…そうだよ。賢二郎の思ってる通りで、合ってる』
寂しそうに笑う和真の顔を見た瞬間、俺の目の奥がツンと熱くなり、自然と目尻には涙が溢れ出す。
和真のシャツを握っている手がふるふると震え、奥歯を噛み締めた俺は、さっきまで吊り上げていた眉を弱々しく垂らしながら震える声で言った。
白布「…和真の誕生日に……亡くなったのかよ、お前の母さんと、父さん……っ」
……To be continued
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かかお(プロフ) - 磯野さん» はい!楽しみにしております!! (2020年9月26日 8時) (レス) id: 6179b1348a (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - かかおさん» かかお様、おはようございます。コメントありがとうございます。今、泣きそうになりながらかかお様のコメントを5回くらい読みました。嬉しいです!本日もいつもの時間帯に更新致しますので、よろしくお願い致します! (2020年9月26日 8時) (レス) id: 017e5977a2 (このIDを非表示/違反報告)
かかお(プロフ) - ここまで読んでいておもしろいと感じた作品は初めてです!本当にキュンキュンします!更新頑張ってください! (2020年9月26日 8時) (レス) id: 6179b1348a (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - らんさん» らん様!この度もコメントありがとうございます!いつもいつもコメントして頂きましてとても嬉しいです!ひとつひとつが長いのでもう第3章ななってしまいました(´;ω;`)5章までいきそうですが、末永くよろしくお願い致します(´;ω;`) (2020年9月24日 23時) (レス) id: 017e5977a2 (このIDを非表示/違反報告)
らん - コメント失礼します。続編おめでとうございます。お話を読んでいるこちら側がドキドキします(笑)主人公が幸せになることを願っています!作者様のご無理のない程度で頑張ってください! (2020年9月24日 22時) (レス) id: 4c594377a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:磯野 | 作成日時:2020年9月23日 22時