【HQ／男主】この瞬間を誰よりも幸せに。３【白布 賢二郎】【リクエスト作品】

episode 18ー1 ページ35

「あらあら。この前の子だねぇ」


五色「…？この前？」


「また来てくれたの。ありがとねぇ」




五色はきょとんとしながら和真を見上げた。




『この前、泊まったんだよ。賢二郎』


五色「え…」


『ちょっといろいろあって泊めたの。なんだよ、その顔』


五色「いや…なんでもない」




ぱちぱち、と瞬きを繰り返しながら顔を逸らした五色に、和真は「？」と首を傾げた。




俺が差し出した柏饅頭と大福は、おばあさんはとても喜んでくれていた。




和真は「気にしなくていいのに」と言いながらも受け取ってくれて、すぐにおばあさんに出してくれた。




太一の事もおばあさんに紹介し、俺達はさっそく勉強会をするために和真の部屋へ移動した。




襖を開くとそこには丸いテーブルとテレビ、ベッド。




四人の男が座ると少し狭いけれど、でも、座れないわけではない。




『太一が賢二郎と工がくること言わないから、部屋片付けてねーんだよ』


五色「和真はいつも片付けてないだろ」


『なんだお前、今日やたらと俺につっかかってくるな。あとで四の字固めしてやる』


五色「ばあちゃんにチクってやる」




和真は別の部屋から古い小さなテーブルを持ってくると、丸いテーブルの隣にそれを置いた。




これで四人、勉強が出来る。




俺と和真は隣同士に座り、俺達と向かい合うように五色と太一が座った。




『なんか飲むだろ？コーラあるから持ってくるわ』


五色「気が利く、美濃和真」


『お前もこい、手伝えバカヤロ』




和真は五色の腕を引っ張ると、二人で台所へ行ってしまった。



しん、と静まり返る和真の部屋。




向かい合わせで座った太一とふたりきり。




太一は鞄の中から筆箱を取り出しながら俺に話しかけた。




川西「この前、泊まったんだ？美濃の家に」


白布「うん。和真が学校休んだ日」


川西「ああ、あの日か」


白布「帰りが遅くなるからって、泊めてくれた」


川西「楽しかった？」


白布「え…」


川西「なんもなかった？その時」


白布「え……ぁ、…いや…その、」




まるで探るような太一の言葉に、俺は動揺したかのように黒目を左右に動かしながら肩をすくめる。





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