【ヒロアカ／合作作品】想われ振られ。２【男主】【轟：爆豪】 (ページ10)

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従うように胸元を見てみれば、胸の前で握った手からは、ピンク色のゼラニウムの花が。

「！！い、いつの間に…！！」

みるみるうちに手を覆うピンク色のゼラニウムの花の量に、僕は勝己と轟君の顔を交互に見た。

「バカな奴。さっきから出てんだっつの、それ」

僕の揺るがない決意は、僕の個性として手の平から溢れ出ていた。

「ピンク色のゼラニウム。花言葉は、決意」

黙って僕の話を聞いていた轟君が、ようやく口を開く。

「俺も爆豪も、その花の花言葉くらい、知ってる」

「轟君…」

「お前がどれだけ一生懸命考えて、俺の事を思ってその答えを出したか、よく分かった」

「……うん」

「その答えはもう、俺が何を言っても変わらないってのも、よく分かった」

手の平を覆うゼラニウムの花を隠すように、握り拳を作る。

「正直、分かんねえ。爆豪の何がそんなに良いのか、理解出来ねえ。お前、こういうすぐに吠える奴が好きなのか？」

「ああ！？すぐ吠えてねえだろうが！！！」

「そうか、わりぃ。今のは吠えたに入らねえんだな」

ぎゃあぎゃあと牙を剥き出しにしながら吠える勝己を無視しながら、轟君は続けた。

「どんなに小さな事でも伝えたい、って言ってくれたのは、すげえ嬉しかった。でも、答えが欲しい時、俺じゃなくて爆豪の答えを求めると言われたのは、寂しかった」

「………ごめんなさい」

「でも、それでお前が幸せになれるなら、それで良い。きっとお前を幸せに出来るのは、俺じゃなくて爆豪なんだと思う」

一歩、また一歩と僕に近付く轟君を、見つめ続けた。

今、僕は轟君から目を離してはいけない気がした。

「桜庭」

────ズキン。

僕の心にひとつ、傷が走る。

「俺はこれからもお前が好きだ。この気持ちはずっと、変わらない」

「……うん」

「楽しかった、遊園地」

「…うん」

「恋人と行った遊園地は、初めてだった」

僕が恋人と遊園地に行くのが初めてだったように、轟君にとっても初めての事だったんだ。

お互いに［初めての遊園地デート］だったなんて。

「［お試し］だったけど、毎日が幸せだった」

「…うん」

「ありがとう、桜庭」

────ズキン。

僕の心に二つ、傷が走る。

チクチクとした心臓の傷みに必死に耐えていれば、轟君の右手がゆっくりと持ち上がる。

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