【ヒロアカ／合作作品】想われ振られ。２【男主】【轟：爆豪】 (ページ11)

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その手は僕の頭の上にふわりと乗ると、大切な物を触るように、ゆっくりと僕の頭を撫でた。

「ありがとう」

『ありがとう』を繰り返した轟君は、僕の頭の上から手を離すと、僕から顔を逸らす。

そして、そのままその場を去るように、歩き出した。

どんどん遠くなっていく、轟君の足音。

今まで目の前にいた轟君は、もういない。

なんだか、もう轟君は僕の側に居てくれないような気がした。

もう轟君は僕の目の前に現れないような気がした。

『これからも好きだ』と言ってくれたけれど、轟君は僕から離れてしまう気がした。

きっと、轟君は二度と僕の事を『男主』と呼んでくれない気がして────

握っていたゼラニウムの花を地面へと投げ付け、勢い良く振り返る。

公園から出て行こうとする轟君の背中に向けて、声を裏返しながら叫んだ。

「僕も幸せだったよ、轟君！！」

君はたくさんの幸せを、僕にくれた。

「君と一緒に居た時間は、僕にとって大切だよ、轟君！！」

君と過ごした一分一秒が、僕の宝物だよ。

「これからも！君と一緒に居る時間を、大切にしたいんだ！！」

そう叫べば、轟君の足はピタリと止まった。

「これからも、君と笑っていたいんだ」

振り返ってはくれなくても、君はそうやって背中で僕の言葉を受け止めてくれる。

「君に、大切な友達として、…側に居て欲しいんだ」

そんな君の優しさが、僕は大好きなんだ。

「轟君、……お願い」

僕のわがままだって、分かってる。

「最後に僕のお願い、聞いて欲しい」

震える唇に歯を立て、声が震えないようにと必死で耐えた。

「僕を、……僕を、名前で呼んで。焦凍」

届いているかどうか分からないほどの消え入りそうな声でそう言えば、轟君の肩が一瞬、震えた。

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