STORY 5-4 ページ46
そんな彼に、俺は一歩踏み出して近付くと「なあ」と声をかけた。
『爆豪に何か言ったのか？お前』
何も言わずに目を伏せたままの彼。
『それとも、爆豪がお前に何かしたのか？』
爆豪「…もういい」
質問責めをする俺を止めようと、爆豪は口を挟む。
それでも俺は彼に対する質問をやめなかった。
『爆豪がお前に何かしたのなら、それは爆豪が悪い。だけど、コイツがこんなにキレてるって事は、お前も爆豪に何かしたんだろ？』
爆豪「おい棗、もういいって言ってん…」
『良くねえだろ。お前キレてたじゃん。お前もコイツに何を言われたのかさっさと言えや』
俺の腕を掴んで止めようとする爆豪だが、俺はそれを勢い良く振り払う。
そんな俺と爆豪に向けて、彼はフンと鼻を鳴らすとようやく口を開いた。
「これだから、ヒーロー科の連中は嫌いなんだ」
彼のその言葉に、俺と爆豪はゆっくりと彼に顔を向けた。
「俺がこの爆破男になんて言ったのか教えてやるよ」
ククッ、と喉を鳴らして笑う彼は、右手をゆっくりと持ち上げる。
そして、左目を覆っている前髪を、右手で掻き上げながらニヤリと口の両端を引き上げた。
「ヴィラン向きの個性だな、って言ったんだよ…！」
彼のその言葉に、俺はカッと目を見開くと、全身をゾワゾワと波立たせた。
────頭の中に、ひとつの映像が流れたんだ。
────それは遠い遠い、昔の記憶。
────めそめそと泣いている俺に向けて、「やーいやーい！ヴィ！ラ！ン！」と指を差しながらバカにする周りの声。
────台所の隅に小さく体を縮めてしゃがみ込む母親。
────絶望したかのように頭を抱え込む父親。
────そんな両親を、襖の影から見つめる俺。
寂しくて、悲しくて、苦しい記憶が頭の中をぐるっと回った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 292人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
磯野(プロフ) - Karasuさん» こんにちは。コメントありがとうございます！今夜も更新致しますので、お待たせしてしまいますが見て頂けましたら嬉しいです。よろしくお願い致します！ (2018年11月15日 12時) (
レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
Karasu - 毎回良いとこで終わる！！(泣)(早くみたいので)更新頑張ってください！！ (2018年11月15日 11時) (レス) id: ce467b078d (このIDを非表示/違反報告)
らる@盃(プロフ) - 磯野さん» 死柄木めっちゃ好きですww はい！楽しみにしてます！！ (2018年11月7日 21時) (レス) id: 0f8ed7e297 (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - らる@盃さん» こんばんは！コメントありがとうございます。らる様は死柄木がお好きなんですね？磯野は上鳴君をこよなく愛しております笑笑らる様の好みのオチにはならないと思いますが.....楽しみにして頂けたら光栄です。よろしくお願い致します！ (2018年11月7日 21時) (レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
らる@盃(プロフ) - 続きがすごく楽しみです！更新頑張ってください！ (2018年11月7日 21時) (レス) id: 0f8ed7e297 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：磯野
| 作成日時：2018年11月4日 21時
