STORY 3-2 ページ21
重たい水を両腕で掻き分けながら前へ前へと進んでいれば、水中でぐったりとしている爆豪の姿を見つけた。
やっぱり溺れていたんだ。
水面から見えたあの掌は、もがいている時の爆豪の掌だったんだ。
両足を大きく動かし爆豪に近付く。
両腕を伸ばし、ぐったりとしている爆豪の体を掴まえた。
しっかりと爆豪の体を抱き上げ、水中から出してやれば、爆豪はゲホッゲホッと咳き込んだ。
良かった。
息はちゃんとしているみたいだ。
『爆豪』
そう爆豪の名前を呼べば、咳き込みながらも爆豪の瞼が薄らと開いた。
青白い顔で薄らと開いた瞼の隙間から俺を見ると、小さな声で呟いた。
爆豪「なん、……おま…」
きちんと言葉も喋れて、相手が俺だと理解出来ている様子。
どうしてプールで溺れたのかは分からないけれど、何よりも無事で良かった。
爆豪の無事を確認すると、眉を八の字に垂らし、目を細めて笑みを浮かべた。
『良かった、無事で』
俺がそう言うと、爆豪は静かに瞼を閉じ、力尽きたかのように俺の肩に顔を伏せた。
ズシッと重くなる爆豪の体だけれど、水の中にいるため、爆豪の体を支える事は出来る。
このままプールサイドへ爆豪を運ぼうとした時、遅れてプールに飛び込んで来たのは担任の相澤消太。
相澤「爆豪！！」
『大丈夫、息してる』
そう言いながら爆豪の体を相澤に差し出せば、相澤は軽々と爆豪の体を抱き上げた。
そのままプールサイドへ上がる相澤の背中を黙って見つめる。
俺は、爆豪を助けた。
考えるよりも先に、体が勝手に動いていた。
爆豪なんて、俺にとってどうでも良いはずなのに。
俺にとって爆豪は──敵──に値するのに。
プールの中で爆豪が溺れていると察した俺は、突然走り出していた。
そして、自分の個性を使ってプールの中に飛び込み、必死になって爆豪の元まで泳いだ。
爆豪の体を水中から出して、息をしている事、きちんと言葉が話せる事、相手が俺だと認識できる事を確認すると、心の底から安心した。
爆豪が無事であると分かり、ホッとした。
水中から両手を上げ、掌を見つめる。
俺はどうして、爆豪を救ったのだろう。
本当は救ってはいけない相手だったのに。
この事を、あの人に知られたら────。
ギュッ、と両手を握り締めて瞼を閉じ、唇を固く結んだ。
_______________
to be continue…
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磯野(プロフ) - Karasuさん» こんにちは。コメントありがとうございます！今夜も更新致しますので、お待たせしてしまいますが見て頂けましたら嬉しいです。よろしくお願い致します！ (2018年11月15日 12時) (
レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
Karasu - 毎回良いとこで終わる！！(泣)(早くみたいので)更新頑張ってください！！ (2018年11月15日 11時) (レス) id: ce467b078d (このIDを非表示/違反報告)
らる@盃(プロフ) - 磯野さん» 死柄木めっちゃ好きですww はい！楽しみにしてます！！ (2018年11月7日 21時) (レス) id: 0f8ed7e297 (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - らる@盃さん» こんばんは！コメントありがとうございます。らる様は死柄木がお好きなんですね？磯野は上鳴君をこよなく愛しております笑笑らる様の好みのオチにはならないと思いますが.....楽しみにして頂けたら光栄です。よろしくお願い致します！ (2018年11月7日 21時) (レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
らる@盃(プロフ) - 続きがすごく楽しみです！更新頑張ってください！ (2018年11月7日 21時) (レス) id: 0f8ed7e297 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：磯野
| 作成日時：2018年11月4日 21時
