STORY 33 ページ7
おかげでスパイクは上手くいかなくて、木兎に注意を受けるし、赤葦は無言の圧をかけてくるしで、最悪な練習時間になった。
休憩時間になり、俺は苛立ちを抱えながら自分のスポーツバッグの元へと歩み寄る。
苛立ちをぶつけるようにスポーツバッグからボトルを取り出せば、一気にボトル内の飲料を飲み干した。
『あ゛〜クソこのカス!』
そう言いながらバッグの中にボトルを叩き付けた。
こんなに苛立つなら、こんなに気持ちがモヤモヤするのなら、俺はもう誰とも付き合いたくない。
ひとりの方がマシだ。
面倒くさい事はこりごりだ。
『花火大会だって、行かねえし』
不貞腐れたようにそう呟けば、「蒼井ぃー!」と俺を呼ぶ声がする。
振り返ると、そこには木兎と赤葦が床に座りながら俺を見ている。
ああもう。
俺を呼ぶな。
呼ぶな、見るな、関わるな。
お前が俺を呼んだら、河野がまた嫌な気持ちになるだろうが。
いつもなら木兎から呼ばれるとすぐに駆け寄る俺だったが、俺は躊躇するようにその場から動かない。
木兎「蒼井!木兎様から集合かかってんぞ!」
赤葦「蒼井、集合」
木兎の隣で涼しい顔をしながら、木兎のノリに乗るように手をパンパンと叩く赤葦。
なんなんだ、オメーらは。
お前ら二人、俺の事が好きなんじゃねえの?
俺の事が好きなら、お前ら二人は恋のライバルなんじゃねえの?
なんで仲良く隣同士に座っていられるんだよ。
なんでそんなに楽しそうに笑えるんだよ。
俺と河野とは真逆の二人を見ては、深く眉間に皺を刻ませた。
木兎「あり?蒼井、耳無いのかな」
赤葦「完全に無視してますね」
木兎「こんにゃろ!蒼井のくせに俺を無視しやがって!」
立ち上がった木兎はニヤリと口角を上げれば、俺に向かってドドドドと走ってくる。
ギョッとした俺は、慌てて木兎から逃げるように走り出した。
『来んな!こっち来んな!』
木兎「無視した悪い子はどこだー!」
『無視してねえし!!シカトしただけだっつの!』
木兎「無視もシカトも同じ意味だろ!!」
俺を追いかけ回す木兎を見る赤葦は、普段の表情と何も変わらない。
俺と木兎を見つめる河野は、静かに瞼を閉じた。
────もう一人、俺を見つめるある人物は、ボトルから口を離しながら呟いた。
「……らしくねえな、アイツ」
ーーーーーー
to be continue…
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磯野(プロフ) - yu-kariさん» こんばんは。コメントありがとうございます。次のHQ小説の内容はまだ決まっていませんが、次回も読んでいただけましたら幸いです。よろしくお願いします。 (2018年10月29日 20時) (レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
yu-kari - 、、、たまらん。(*´∀`*)ポッ次回作楽しみ( ´Д`)= (2018年10月29日 13時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - 輝咲囚兎/キサキ シュ-トさん» おはようございます。コメントありがとうございます。最後まで読んで下さいまして誠にありがとうございます。これからも読者様方々におもしろいと思って頂ける作品を作っていこうと思いますので、よろしくお願いします! (2018年10月29日 7時) (レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
輝咲囚兎/キサキ シュ-ト(プロフ) - 最初から最後迄本当に楽しかったです!どちらのルートも応援していたのでとても胸がいっぱいです!ホントに素敵な作品をありがとうございます!! (2018年10月29日 7時) (レス) id: 437cb76d7d (このIDを非表示/違反報告)
yu-kari - おっ、、、あっ、、、。、、、、、ぁぁぁぁあああ!、ぁぁぁぁあああ!最高ぉぉおおおお!最後まで神作ぅぅぅぅぅぅううう! (2018年10月28日 2時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:磯野 | 作成日時:2018年10月21日 21時