STORY 23 ページ36
ああ、そんなガシガシしたらなっちゃんのせっかくのヘアスタイルが崩れてしまう。
乱れてしまったなっちゃんのふわふわの髪の毛を直してやり、俺となっちゃんは職員室へと向かった。
*
及川「本当、悪質だよね」
岩泉「悪質だな。心当たりねえのか？夏坂に」
及川「ないでしょ。だってあのなっちゃんだよ。なっちゃんのこと嫌うような人、この世にいるわけないよ」
昼休み。
食堂で昼食を食べ終えた俺と岩ちゃん、マッキーとまっつんは食堂から出て廊下を歩いていた。
今朝、結局俺はなっちゃんを職員室に連れていき、先生に事情を説明して、スリッパを貸してもらった。
一応、３年生の教室が並ぶ階は探したけれど、なっちゃんの中履きは見つからない。
今も１階の廊下を歩きながら辺りを見渡しているし、ゴミ箱の中を覗いたり、掃除用具入れの中を確認したりはしてる。
けれど、無い。
なっちゃんの中履きは、見つからない。
すると、ぺったぺったと音がする方へと顔を向ければ、そこには誰がどう見ても不機嫌マックスのなっちゃんと、その隣に紙パックのジュースを飲んでいる国見ちゃんがこちらへ向かってきている。
国見ちゃんの隣で、ゴゴゴゴ、と怒りのオーラを放つなっちゃんは、とても恐ろしい。
もちろん、美人だよ？
美人さんでは間違いないんだけど、…怖いよね。
及川「なっちゃん」
そう声をかければ、なっちゃんは「ん゛」と低い声で返事をして俺を見た。
及川「１年生の階、あった？」
『無い』
及川「３年の階も探してみたんだけど、無かったんだよね」
『なに。探してくれたの？』
及川「当たり前じゃん」
『ありがと』
及川「え」
今、なんとおっしゃりましたか。
ありがと？
なっちゃんが、俺に、ありがと？
前は、「あざす」だったのに、「あざす」から「ありがと」にグレードアップするだなんて。
不機嫌な表情のまま「ありがと」と言ったなっちゃんは、隣の国見ちゃんに向かってブツブツ文句を言っている。
きっと、中履きについての文句だろう。
そ、そうだ。
俺は今、なっちゃんの「ありがと」の言葉に舞い上がっている暇はないんだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 135人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
磯野(プロフ) - ナナさん» おはようございます。コメントありがとうございます。私も浪川さんの声はイケボだと思います！書いてて自ツッコミしてました(笑)読んで頂けまして嬉しいです！今後ともよろしくお願い致します。 (2018年6月24日 8時) (
レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 磯野さんのお話をひたすら、ニヤニヤしたり、笑っ たり恋ってこんな感じなんだなあと思ったりと楽しく見ています！思わず、浪川さんあんたもイケボだよなど叫びながら見ています！これからも頑張ってください！ (2018年6月24日 7時) (レス) id: c46c927188 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：磯野
| 作成日時：2018年6月10日 21時
