STORY 21 ページ30
なっちゃんはフッと息を吐きながら小さく笑みを浮かべるけれど、その笑みはどこか寂しそうだった。
『……俺は覚えてたけどね』
及川「嘘」
『嘘なんてつくわけねえだろ。入学式当日、玄関の外でアンタを見かけたとき、すぐにアンタが及川 徹だってわかった。でも、及川さんは俺の顔を見てもきょとんってしてたから、多分アンタは俺のこと忘れてるんだろうなと思ったけどね』
及川「本当に…覚えてたの？」
こくり、と頷くなっちゃん。
『LINE、なかなか返信しなかったのは理由がある。及川さんにだけ素っ気ない態度とっちゃうことにも、理由がある』
及川「なに、その理由って」
ゆっくりと歩み寄ったなっちゃんの足が、俺の目の前でピタリと止まった。
そして、なっちゃんは自分よりも少し目線が高い俺を見上げた。
『……好きな人には、冷たい態度とっちゃうって、昔、及川さんに言ったはずだよ。忘れたの？』
昔？
俺となっちゃんが幼稚園の頃？
……待って。
昔、幼稚園の頃、なっちゃんからそう言われたことがあったかもしない。
及川「…っあ」
『LINEくれても、好きな人からLINEが来たらどう返せば良いか悩んで返信が遅くなる、って昔も同じことあったよね。手紙で。それも忘れた？』
手紙？
そういえば、昔、幼稚園の頃、俺となっちゃんは手紙交換をしていたときがあった気がする。
及川「うわ、…思い出してきた」
『バカじゃねえの』
むす、と眉を寄せたなっちゃんは俺の練習着の襟を両手で掴むと、軽く背伸びをする。
そして、瞼を閉じたなっちゃんは、迷うことなく俺の唇に自分の唇を押し付けた。
及川「ん゛ッ！？」
俺の唇に伝わる柔らかな感触と、すぐ目の前にあるなっちゃんの綺麗な顔に驚き、俺は一歩後退りをすると、そこにはボールが転がっていた。
ボールを踏んでしまい、バランスを崩した俺は、どてんっと床に仰向けに転んでしまう。
及川「いってて…」
腰を打った俺は腰を撫でていれば、痛がる俺に構うことなく俺の体の上になっちゃんが跨って馬乗りをする。
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磯野(プロフ) - ナナさん» おはようございます。コメントありがとうございます。私も浪川さんの声はイケボだと思います！書いてて自ツッコミしてました(笑)読んで頂けまして嬉しいです！今後ともよろしくお願い致します。 (2018年6月24日 8時) (
レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 磯野さんのお話をひたすら、ニヤニヤしたり、笑っ たり恋ってこんな感じなんだなあと思ったりと楽しく見ています！思わず、浪川さんあんたもイケボだよなど叫びながら見ています！これからも頑張ってください！ (2018年6月24日 7時) (レス) id: c46c927188 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：磯野
| 作成日時：2018年6月10日 21時
