STORY 17 ページ15
なっちゃんは終始目を伏せていて、その場に固まっていた。
「…恥ずかしいのかい?」
『何がですか』
「俺と目を合わせないから」
『いや、何してるんだろうと思って』
目を伏せたまま答えるなっちゃんに、五十嵐はフッと小さく笑った。
「素直じゃない子だ」
ぞわわ、と俺となっちゃんの背筋に、同時に寒気が襲う。
そのまま瞼をゆっくりと閉じながらなっちゃんの顔に自分の顔を近付ける五十嵐に、なっちゃんはギョッとして眉を上げる。
『ちょ、い、五十嵐さ…っ』
なっちゃんは眉間に深く皺を寄せて両手で五十嵐の胸を押すけれど、体格が大きい五十嵐には通用しない。
五十嵐の唇がなっちゃんの唇に重なろうとした瞬間、俺は渾身の力で五十嵐を突き飛ばし、なっちゃんの肩を引き寄せた。
一歩二歩とよろける五十嵐と、俺から肩を引き寄せられたなっちゃんは大きく目を開かせる。
俺は五十嵐を真っ直ぐに見つめていた。
それはもう、怒りを通り越した、無表情の瞳で。
及川「何をしようとしたの、五十嵐」
「ど、どうしたんだい?及川くん」
及川「だから、なっちゃんに何をしようとしたのかって聞いてるんだけど。答えろ」
俺の低くなった声が、二人の間に流れる。
なっちゃんは瞬きもせず、黙って俺を見つめている。
「君には関係ないだろう」
及川「あるよ」
「…いったい、君は皐月のなんなんだ」
俺は、なっちゃんの友達じゃない。
幼馴染でもないし、部の先輩でもない。
………恋人じゃない。
ぎゅ、と唇を固く結び一度瞼を閉じてから、ゆっくりと瞼を開いた。
及川「なっちゃんの王子様だよ」
ぽかん、と口を開く五十嵐。
途端に五十嵐は、口に手をあててクスクス笑い始める。
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磯野(プロフ) - ナナさん» おはようございます。コメントありがとうございます。私も浪川さんの声はイケボだと思います!書いてて自ツッコミしてました(笑)読んで頂けまして嬉しいです!今後ともよろしくお願い致します。 (2018年6月24日 8時) (レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 磯野さんのお話をひたすら、ニヤニヤしたり、笑っ たり恋ってこんな感じなんだなあと思ったりと楽しく見ています!思わず、浪川さんあんたもイケボだよなど叫びながら見ています!これからも頑張ってください! (2018年6月24日 7時) (レス) id: c46c927188 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:磯野 | 作成日時:2018年6月10日 21時