STORY 16 ページ11
教室の前扉からひょっこりと顔を出した俺と目が合ったのは、なっちゃんではなくて国見ちゃん。
俺の姿を見つけた国見ちゃんは「どうしたんですか」と言いながら駆け寄ってきた。
及川「なっちゃんいる？」
国見「夏坂ならさっき、３年の先輩に呼ばれましたけど」
及川「は？誰？」
国見「えっと……いが、……五十嵐、さん？」
うわ、出た。
五十嵐コノヤロウ。
国見ちゃんの口から出た「五十嵐」の名前に、俺の眉はピクピクと動く。
及川「どこに行ったか分かる？」
国見「さあ？昨日は広報の仕事があるからって呼ばれたみたいですけど、今日は特に何も言ってな…」
国見ちゃんが最後まで言い切らないうちに、俺はその場から駆け出していた。
すぐになっちゃんを助けなければ。
きっとなっちゃんは、あの五十嵐という男から襲われるに違いない。
確信はある。
長年、バレーで磨いた俺の勘がそう言ってるもん。
バタバタと階段を駆け下り、１階の廊下を探すけれどなっちゃんの姿は見ない。
食堂も探してみたけれどいない。
まさか保健室で二人はヘッドの上に？なんて考えたけれど、保健室にはいなかった。
玄関から飛び出して中庭に向かう途中の道で、二人の男子生徒を発見した。
風になびくふわふわな髪質の後ろ姿を見れば、すぐにそれがなっちゃんであることは分かる。
じゃあ、もうひとりは五十嵐？
及川「なつ…」
なっちゃんを呼ぼうとしたそのとき、なっちゃんよりも、俺よりも身長が高い五十嵐という男は、頭を傾けてなっちゃんの顔に自分の顔を近付ける。
そんな五十嵐に対して、なっちゃんは恥ずかしがっているのか、照れているのか、嫌がっているのか分からないけれど、顔を俯かせていた。
なっちゃんの頬に五十嵐の指が触れれば、俺は地面を蹴り付けて二人に突撃する。
そして、なっちゃんの腕を掴めば、強引に自分の胸元へ引き寄せた。
驚いたように目を丸くして俺を見上げるなっちゃんと、同じく五十嵐も小さな瞳を大きく開いた。
俺はなっちゃんの体を抱き寄せたまま、五十嵐という男を睨み付ける。
コイツ、見たことあるぞ。
確か１年生の時、同じクラスだった気がしなくもなくもなくもなくも……もう分かんないっ！！
とりあえず近くで顔を見てみたら、なんとなく見覚えはある気がした。
確か１年生のときは眼鏡をかけていた気がする。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 135人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
磯野(プロフ) - ナナさん» おはようございます。コメントありがとうございます。私も浪川さんの声はイケボだと思います！書いてて自ツッコミしてました(笑)読んで頂けまして嬉しいです！今後ともよろしくお願い致します。 (2018年6月24日 8時) (
レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 磯野さんのお話をひたすら、ニヤニヤしたり、笑っ たり恋ってこんな感じなんだなあと思ったりと楽しく見ています！思わず、浪川さんあんたもイケボだよなど叫びながら見ています！これからも頑張ってください！ (2018年6月24日 7時) (レス) id: c46c927188 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：磯野
| 作成日時：2018年6月10日 21時
