STORY 11 ページ39
どうせ俺みたいなイケメン男子と、なっちゃんみたいな美男子に嫉妬してるんでしょ。
及川「なっちゃん」
『なに』
及川「あんなの、気にするなよ」
『仕方ねえじゃん。聞こえてくるんだし』
確かにイヤホンをしていても、男子生徒達の低い声は微かに聞こえてくる。
そして、なっちゃんは一層機嫌が悪くなったように、眉間に皺を刻む。
どうしようかと思いながら、チラッと男子生徒達を見てから、なっちゃんへと目線を戻した。
及川「…なっちゃん、怒るかもしれないけど」
『え?』
及川「学校の最寄りに着くまで、辛抱してて」
ゆっくりと片手を持ち上げた俺は、その手をなっちゃんのイヤホンのしていない方の耳に被せる。
俺の手により耳を塞がれたなっちゃんは、顔を真っ赤にしながら俺を見ていたけれど、やがて瞼を閉じた。
これなら聞こえないでしょ。
嫌かもしれないけど、ちょっと我慢しててね。
数分後、止まっていた電車はゆっくりと動き始める。
俺は片腕で体勢を支えながら、なっちゃんの耳に手を被せ続けた。
なっちゃんが瞼を閉じている間、指先でふわふわな髪の毛に触れてみる。
桃色の薄い唇を見つめてみる。
このままなっちゃんの顔を引き寄せて、目を瞑っているなっちゃんにキスをしたらどんな反応をするだろうか。
驚くだろうか。
嫌がるだろうか。
恥ずかしがるだろうか。
それとも意外と、受け入れてくれたりして。
ごくん、と唾を飲み込みながらなっちゃんの唇を見つめるけれど、俺はやっぱり何も出来ない。
なっちゃんの唇に、自分の唇を重ねるなんて勇気は、俺には無い。
とことん、なっちゃんを目の前にすると男らしくなくなってしまう俺。
どうして、いつもこうなんだろう。
俺はなっちゃんの王子様なのに。
無事に学校の最寄り駅に到着しては、満員電車の中から俺となっちゃんは降りた。
そして改札を通り、二人で肩を並べながら学校へ繋がる道を歩く。
二人で一緒に登校するなんて、初めてだった。
隣を歩くなっちゃんは平然とした顔をしているけれど、俺の心臓ははち切れそう。
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磯野(プロフ) - 雷雅さん» 雷雅也様、おはようございます!コメントありがとうございます。これからも更新頑張っていきますので、磯野の駄作品をこれからもよろしくお願いします! (2018年6月6日 6時) (レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
雷雅 - 更新頑張ってください! (2018年6月3日 18時) (レス) id: e8ca574508 (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - ハリヤヤマさん» おはようございます!以前はコメントありがとうございました!また毎晩のように更新通知を鳴らしてしまいますが、この先もどうぞよろしくお願い致します(;;) (2018年5月30日 8時) (レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
ハリヤヤマ - うわー新作だー!とっても面白そうです。かげながら応援するています。これからも沢山の小説期待しています!! (2018年5月30日 8時) (レス) id: 3d7326d260 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:磯野 | 作成日時:2018年5月29日 19時