STORY 11 ページ37
思わずギュッと閉じてしまった瞼をゆっくりと開くと、すぐ目の前にはなっちゃんの整った顔がある。
なっちゃんの長くて細い睫毛が見えて、瞳の中に俺が映っていることも確認出来た。
すぐ間近にある俺の顔を見つめたなっちゃんは、恥ずかしいのか、それとも照れているのか、薄らと頬を桃色に染めている。
そんななっちゃんの表情を見た俺までもが照れてしまい、顔が熱くなっていくのが分かる。
俺から目を逸らすように目線を伏せたなっちゃんは、「及川さん…」と小声で呟いた。
及川「ん、…ん？なに？」
『…なんで目の前にいるの』
及川「い、いつもこの時間の電車に乗ってるから。なっちゃんこそ、普段は見ないのに今日はなんで？」
『いつもはもっと早いけど、今日は寝坊した』
なるほど。
なっちゃんはいつも早い電車に乗っているから、俺と駅で会ったことないんだね。
偶然、この時間帯の電車に乗ってきたなっちゃんと会うなんて嬉しすぎるけれど、俺にとってこの状況はレベルが高い。
だって今、俺はなっちゃんに絶賛壁ドンをしている状態だよ。
俺の両腕の間にはなっちゃんが頬を桃色に染めて、体を縮こませて立っている。
こんなの、俺が頭を傾けて顔を寄せたら、すんなりとキス出来る状況じゃん。
なっちゃんの桃色の唇を見つめていると、ようやく車内アナウンスが流れ始めた。
どうやら、他の電車で非常ベルを鳴らした乗客がいたようで、運転見合わせで一時的に電車の通行が止まっている様子。
確認終了次第、再び電車は動き出すとのことで、車内にいる乗客達はホッと胸を撫で下ろした。
及川「…ひ、非常ベルだなんて、誰が押すんだろうね」
『…さあ？』
及川「早く…、…動けば良いね」
『及川さんここで降りてよ』
及川「なんでっ！」
チラッと目線を上げたなっちゃんは制服の上から俺の胸をグイグイと押しながら、「暑い」「苦しい」「壁ドン古い」なんて文句を言う。
俺だってなっちゃんに壁ドンをしたくてしてるわけじゃない。
それに、壁ドンがもう世間の流行から去ったことくらい知っている。
及川「お、押さないでよ…！」
『だって近い…ッ』
及川「仕方ないじゃん…！満員電車だもん！」
小さい声でそう言い争っていると、周囲にいた青葉城西高校の生徒達が、俺となっちゃんを見てこそこそと何か話していることに気付いた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 141人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
磯野(プロフ) - 雷雅さん» 雷雅也様、おはようございます！コメントありがとうございます。これからも更新頑張っていきますので、磯野の駄作品をこれからもよろしくお願いします！ (2018年6月6日 6時) (
レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
雷雅 - 更新頑張ってください！ (2018年6月3日 18時) (レス) id: e8ca574508 (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - ハリヤヤマさん» おはようございます！以前はコメントありがとうございました！また毎晩のように更新通知を鳴らしてしまいますが、この先もどうぞよろしくお願い致します(；；) (2018年5月30日 8時) (レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
ハリヤヤマ - うわー新作だー！とっても面白そうです。かげながら応援するています。これからも沢山の小説期待しています！！ (2018年5月30日 8時) (レス) id: 3d7326d260 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：磯野
| 作成日時：2018年5月29日 19時
