STORY 13 ページ6
折り曲げた両膝の間に顔を埋めながら考えていると、突然、ガチャガチャッ！と扉の向こう側から音がする。
その音に驚いた俺はビクッと肩を跳ねさせると、思わず繋いでいた皇輝の手を離してしまった。
及川「あ…っ、」
手が離れてしまったため、途端に不安が俺を襲い、思わず両腕を伸ばして隣にいるであろう皇輝を慌てて探す。
及川「皇輝むり…！どこ！！」
「は？ここにいるだ、…ちょ、おま！！」
再び恐ろしい程に恐怖を感じている俺はパニックに陥ってしまい、隣にいる皇輝に突撃するように体を体当たりさせる。
俺の体当たりにより「ぶへぇぇ！」と皇輝のおかしな声が俺の体の真下から聞こえると同時に、この暗闇の部屋を照らすように突然光が差し込んできた。
その光の眩しさに瞳を細めて扉へと顔を向けると、そこには岩ちゃんが制服姿で立っている。
及川「岩ちゃん…ッ！！」
なかなか部室に戻らない俺と皇輝を心配して、岩ちゃんが迎えに来てくれたんだ！
やっとここから出られる！と嬉しさと安心感で瞳をうるうるとうるませると、岩ちゃんの眉間に一気にしわが寄られる。
そして鬼の形相を作った岩ちゃんは、「お゛ーい゛ーがーわ゛ー」と、ひとつひとつの平仮名に濁点をつけて俺を呼ぶ。
「へ？」と、きょとんとした表情で岩ちゃんに向けて首を傾げると、岩ちゃんは顎をクイと動かして俺の真下を示す。
顔を下げて体の下を見ると、そこには鼻を片手で押さえ、俺の片手から片腕をマットの上に押さえつけられている皇輝が眉間にしわを寄せ瞳を細めて俺を見上げていた。
及川「あ…っ」
一気に俺の顔は真っ赤に染まり、恥ずかしさに口をパクパクと開閉させる。
鼻を押さえていた手を離した皇輝は、瞳を細めたまま俺に言葉を投げ掛けた。
「どけ。変態」
俺は弾かれたように皇輝の体の上から離れると、皇輝は「あ〜…」と怠そうな声を漏らしながら上体を起こす。
俺から体当たりをされたときに鼻を強打したのか、ゴシゴシと手の甲で鼻の先を擦っている。
マットの端で正座をした俺は、自分が皇輝にしてしまった事態に、体を硬直させていた。
俺は、皇輝を押し倒してしまった。
腕を押さえつけてしまった。
皇輝の体の上に、覆い被さってしまった。
これは、ヤバい。
今なら往復ビンタされたって仕方ない。
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磯野(プロフ) - 令恩さん» おはようございます！コメントありがとうございます。こういうお兄ちゃんだったら良いのになあ、という作者の勝手な想像で作りました笑ありがとうございます！また他の作品もお時間がある時に見て頂けましたら幸いです。 (2018年8月13日 9時) (
レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
令恩(プロフ) - はぁ…皇輝兄さんイケメン過ぎません？弟想いでちゃんと言う事は言うって素晴らしくないですか？これは及川が惚れるのも分からなくも無いなー (2018年8月13日 4時) (レス) id: 163bbcf1b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：磯野
| 作成日時：2018年4月10日 17時
