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STORY 22 ページ43

皇輝が目を伏せている間に流れた涙を腕で拭い、「もういい」と低い声で言いながら背中を向けた。


「悪かったって」

及川「ねえ、なんでさっきから謝るの」

「…え?」

及川「皇輝。いつも告白されたら断るとき、むり、って言うよね。なんで俺には、わり、って謝るの」


皇輝の断り方も気になっていた。

キッパリと否定するのではなくて、俺に謝りながら拒む断り方。

まるで俺に、好きになれなくてごめん、付き合えなくてごめん、と謝られているかのようで腹が立つ。


「…お前の気持ちに、応えられなくて」

及川「そんな謝罪、いらないよ」


まだ、むり、って言われた方がマシだった。

悔しさと悲しさ、そして怒りがこもって涙が溢れ出し、それと同時に鼻水までもが垂れてくる。

こんな情けない顔、皇輝に見せられない。


及川「…帰る」

「お前の家そっちじゃねぇだろ」

及川「遠回りしたいんだよ、皇輝に関係ないだろ」

「なら俺も一緒に…」

及川「来なくていい!」


皇輝から逃げるようにその場から走り出す。

後ろから皇輝が追いかけて来ないようにと、腕を大きく前後に振って走った。

鼻水が唇にまで流れてきて、涙で瞳は潤んで視界がゆらゆらと揺れる。

瞬きをすれば涙は風に乗って飛んでゆき、次第にヒクッヒクッと俺の喉が鳴り始める。

ふられた悲しみと、最後まで告白させてくれなかった怒りで、皇輝に当たってしまった。

ダサい俺、男らしくない。

ごめん、皇輝。
告白して、ごめんね。

でも、もう限界だったんだよ。

皇輝が好きすぎて、この想いを止めることができなかったんだよ。

地面を蹴りながら走っていると、ちょうど別れ道でクラスメイトと別れた岩ちゃんの後ろ姿を見つける。

途端に涙は更に溢れ始め、「岩ぢゃあああ゛ッ!!」と叫びながら突進すると、岩ちゃんは俺の顔を見てぎょっとした表情を浮かべた。

そのまま岩ちゃんに両腕を回して抱きつき、涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら泣き喚いた。


及川「ふられたぁぁあ〜!!うわああああ!!」

岩泉「は!?おま、告ったのか?」

及川「告白したくなかったのに、しちゃったぁぁ〜!!皇輝のバカァ!!」

岩泉「あー……とりあえず満足するまで泣け」

及川「もう…皇輝なんて大嫌いだよぉぉぉ!!」


岩ちゃんにしがみつきながら泣き叫ぶ俺の背中を、岩ちゃんは小さく溜息を零しながら撫でてくれた。


ーーーーーー
to be continue…

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磯野(プロフ) - 令恩さん» おはようございます!コメントありがとうございます。こういうお兄ちゃんだったら良いのになあ、という作者の勝手な想像で作りました笑ありがとうございます!また他の作品もお時間がある時に見て頂けましたら幸いです。 (2018年8月13日 9時) (レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
令恩(プロフ) - はぁ…皇輝兄さんイケメン過ぎません?弟想いでちゃんと言う事は言うって素晴らしくないですか?これは及川が惚れるのも分からなくも無いなー (2018年8月13日 4時) (レス) id: 163bbcf1b4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:磯野 | 作成日時:2018年4月10日 17時

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