STORY 13 ページ5
「怖がるなよ、情けねえ男だなぁ？」
すぐ近くで皇輝の声が聞こえ、そして手を握られていると分かれば、俺は一気に安心した。
俺もしっかりと皇輝から離れないように、皇輝の手をギュッと握り返した。
及川「仕方ないじゃん、何も見えないんだし…」
「確かになんも見えねえな。どうしよ、お前携帯持ってたっけ？」
及川「持ってないよ。皇輝持ってるじゃん」
「部室に置いてきた」
及川「役立たず！」
「はぁぁああ！？」
そう言った皇輝が、俺の方へと顔を向けて大きく口を開いた顔が暗闇の中でも薄らと見ることが出来た。
どうやら徐々に目が慣れてきたようで、俺の隣に皇輝が寄り添うように座っていることが確認出来る。
この状況はものすごく恐怖だけれど、なんだか皇輝が隣にいると分かると心臓がバクバクと震え始めた。
それに、皇輝と俺は今、手を握り合っている。
これが例え、暗闇の中でお互いの居場所を確認するためであったとしても、今はとても嬉しすぎて死にそうだ。
皇輝はさっきから「どうすっかなぁー…」と独り言を零しながら真っ直ぐ前を向いている。
普段はバカみたいな皇輝だけれど、こんなピンチのときになると冷静になる皇輝。
中学１年のときも、俺がひとつ上の学年の先輩達から囲まれてピンチだったときに、皇輝は冷静に対応して俺を守ってくれた。
今回も守ってくれるだろう、とぼんやりと見える皇輝の横顔を見つめていると、「無理だな」と皇輝はキッパリと答えを出した。
及川「は？」
「あ？」
及川「なんて？」
「だから、無理だな、って」
及川「なんで諦めるの！？もっと考えてよ！」
「だって無理だろ。鍵閉められてるし」
キョロキョロと辺りを見回しても、ここには窓らしき物などは無い。
普段から閉め切っている部屋なため、湿気はすごいしホコリっぽいし、何より空気が悪い。
こんなところに一晩中いて、もし酸欠で死んでしまったらどうしよう。
明日誰かが見つけてくれたときに、酷い姿のまま見つかったらどうしよう。
そんなの嫌だ！
まだ皇輝に告白すらしていないのに、ここで死ぬわけにはいかない！
及川「ど、どうにかして出よう！」
「どうにかって、どうすんだよ」
及川「そ、…れは…」
鍵が閉められている以上、内側からは当然鍵を開けることは出来ないし、誰かが外側から開けてくれるのを待つしかない。
どうしよう、どうしよう。
何か良い案はないだろうか。
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磯野(プロフ) - 令恩さん» おはようございます！コメントありがとうございます。こういうお兄ちゃんだったら良いのになあ、という作者の勝手な想像で作りました笑ありがとうございます！また他の作品もお時間がある時に見て頂けましたら幸いです。 (2018年8月13日 9時) (
レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
令恩(プロフ) - はぁ…皇輝兄さんイケメン過ぎません？弟想いでちゃんと言う事は言うって素晴らしくないですか？これは及川が惚れるのも分からなくも無いなー (2018年8月13日 4時) (レス) id: 163bbcf1b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：磯野
| 作成日時：2018年4月10日 17時
