STORY 22 ページ39
【及川side】
11月の下旬になると、東北の寒さは厳しくなり、空からはチラチラと雪が舞い降りてくる日々が続いた。
コートを羽織る生徒達も増え、俺も首周りにマフラーを巻いて登下校をするようになった。
そんな、穏やかに雪が空から舞い降りてくるある日の放課後、一人の女子生徒から呼ばれて玄関の外に連れ出される。
なぜ俺が呼び出されたのかは、何となく予想はついていた。
また、告白だろう。
告白をされても俺は断ると決めていた。
寒さで顔が赤いのか、はたまた緊張して顔が赤いのか分からない女子生徒を見下ろす。
特別可愛いわけではないけれど、性格はとても良さそうな、感じの良い女子生徒で、肩下まであるミディアムな髪の毛が綺麗に見えた。
きっと綺麗好きなんだろうな、と思いながら彼女の告白を適当に聞いていると、「及川くん？」と名前を呼ばれて、咄嗟に「うん」と頷いてしまった。
すると彼女は更に顔を真っ赤に染めながら両手で口元を押さえ、「本当！？嬉しい！」と喜びその場にぴょんっと跳ねた。
きちんと聞いていなかったため、彼女が今何に喜んでいるのかが分からない。
え？え？と、頭の上に疑問符を浮かべながら戸惑っていると、「これからよろしくお願いします！」と、彼女は深々と頭を下げた。
もしかして、さっき俺が咄嗟に言った「うん」が、告白を受け入れたって勘違いをしているのかもしれない。
誤解を解くために、「えっと、さっきのは…」と訂正しようとした時だった。
ぐちゃ、と雪が染み込んで水気を含んだ地面を踏む足音が聞こえ、咄嗟に振り返ると、そこには忍び足で立ち去ろうとしている見覚えのある後ろ姿がある。
彼の首元を見ると、青と白のボーダーのマフラーをしていることに気付き、彼が皇輝であることを察知した。
及川「ちょ、どこ行くの！」
「やべ、見つかっちった」
俺の声にビクッと肩を跳ねさせた皇輝は、赤い舌を出しながら振り返って俺に顔を向ける。
はは、と軽く声を漏らす皇輝は、気まずそうに両手で小さく拍手をしながら笑った。
「おめでとー」
及川「え、…なに、は？」
「付き合うことになったんだろ？」
及川「は、…はあ？ちょ、ちがっ」
「お幸せに！」
白い歯を出して笑う皇輝は片手を挙げると、その場から逃げるように走り出す。
及川「待てよ！違うって！」
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磯野(プロフ) - 令恩さん» おはようございます！コメントありがとうございます。こういうお兄ちゃんだったら良いのになあ、という作者の勝手な想像で作りました笑ありがとうございます！また他の作品もお時間がある時に見て頂けましたら幸いです。 (2018年8月13日 9時) (
レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
令恩(プロフ) - はぁ…皇輝兄さんイケメン過ぎません？弟想いでちゃんと言う事は言うって素晴らしくないですか？これは及川が惚れるのも分からなくも無いなー (2018年8月13日 4時) (レス) id: 163bbcf1b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：磯野
| 作成日時：2018年4月10日 17時
