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STORY 20 ページ36

けれど、そんな様子はなく、小学生のときよりも少し生き生きとした弟の姿を見ることが出来て安心した。

俺は多分、弟のことが可愛くて可愛くて仕方ないんだと思う。

兄が弟にメロメロだなんて、正直恥ずかしくてみんなに言えない。

弟が可愛いくて、恋人を作ると弟との時間が無くなるから恋人を作らない、なんて言えない。

本当は部活のときだって、もっと弟にちょっかいかけたいし、からかいたいけれど、それをグッと我慢しながら部活を続けた。

けれど、時々無性に弟のことを可愛がりたくなって、背後から弟の頭の上に顎を置いて密着したり、みんなの目の前でわざと仲良い様子を見せつけるように弟の爪を切ってあげたりした。

コイツは俺の可愛い弟なんだ、って見せつけたかった。

今思えば、俺はとんだ兄バカだと思う。

母さんも、弟に対しては親バカだけれど、俺も超がつくほどの兄バカだ。

俺は弟にベタ惚れだけれど、弟は俺にベタ惚れなわけではない。

だからきっと、これから弟は俺の知らない場所で誰かに恋をして、付き合ったり、失恋したり、恋だけじゃなくて心友と呼べる人を作ったり、弟なりの人生を歩んで行くのだろう。

俺は、恋愛に関しては止まったままだ。

俺が誰かと付き合うと、弟を寂しい気持ちにさせてしまうのではないかと、不安が襲う。

いつかは俺も誰かと付き合って、青春を送って、幸せな時間を過ごしたいと思ってる。

けれど、…今はまだ、…いいかな、なんて。

弟が誰かに恋をして、誰かと付き合って、幸せになったら俺も誰かと付き合おうかなと思う。


「アイツ、早く誰かと付き合ってくんねえかな…」


そんなことを考えていたある日の授業中、俺は教室の壁に飾られている丸い時計を眺めながらボソッと呟くと、授業終了のチャイムが鳴った。

みんなはガタガタと椅子を引く音を響かせながら教室のあちこちに散らばり、俺も教科書とノート類を机の中に押し込む。

すると、「皇輝」と俺を呼ぶ声がして顔を上げた。

やっぱりそこには及川が立っていて、真っ直ぐに俺の元へ歩み寄ってくる。

俺も誰かを好きになれば、こうして毎回授業の合間の休み時間に、その人の元へ行くのかな。

俺の席の前の席の椅子を引いて座る及川をぼんやりと見つめながら、小さく笑みを見せた。


「なぁーに」


ーーーーーー
to be continue…

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磯野(プロフ) - 令恩さん» おはようございます!コメントありがとうございます。こういうお兄ちゃんだったら良いのになあ、という作者の勝手な想像で作りました笑ありがとうございます!また他の作品もお時間がある時に見て頂けましたら幸いです。 (2018年8月13日 9時) (レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
令恩(プロフ) - はぁ…皇輝兄さんイケメン過ぎません?弟想いでちゃんと言う事は言うって素晴らしくないですか?これは及川が惚れるのも分からなくも無いなー (2018年8月13日 4時) (レス) id: 163bbcf1b4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:磯野 | 作成日時:2018年4月10日 17時

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