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STORY 19 ページ31

もっと昔のことを思い出してみよう。

2年生のとき、初めて及川と同じクラスになった俺は、授業中に背中に鋭く刺さる視線をいつも感じていた。

なんだろうと振り返ると、及川のくりっとした瞳が俺を見つめていて、目が合うと咄嗟に顔を逸らされる。

俺がひとりで休憩時間に机に顔を伏せて仮眠を取っていると、アイツは決まって俺を起こしに来て、くだらない話題を投げかけてくる。

そういえば…、今は休憩時間になる度に廊下に出る及川だけれど、2年生のときは休憩時間は必ず教室の中にいた気がする。

それは、俺と同じクラスだったから…?
俺が教室にいるから、アイツも教室の中にいたんじゃ…?

みんなで秋祭りに行った時なんか、俺が他の友達と楽しく会話をしていただけで拗ねていじけていた。

閉じた瞼をゆっくりと持ち上げ、俺の名前の横に書かれた「すき」の文字を見つめる。


「……すき、……なのか」


今までコイツの気持ちに気付いたことは、一度も無かった。

やけに俺の周りをうろつく、ストーカー基質のうぜえ野郎だとは思っていたけれど、今なら全部その意味を理解することが出来る。

俺のことが好きだから、俺の周りをうろついたり、母親みたいにいちいち突っかかってきたり、ストーカーのように俺を見るために廊下に出たりしていたんだ。


「…なんでよりによって、俺なんだよ」


俺のことなんて好きになるなよ、バカ。

俺のことを好きになったって、ただの時間の無駄なんだよ。

俺は誰かを好きになろうとは思わないし、恋愛なんてしたくないし、恋人も作ろうとは思わない。

きっと俺は、及川に告白されたら、絶対に断るに違いない。

半端な気持ちで誰かと付き合うなんて、したくない。


「…絶対、告ってくんなよ」


そう呟きながら筆箱を文字の上に置いて隠し、椅子から立ち上がると、背中を丸めポケットに片手を入れながら教室から出ていった。

ーーーーーー
to be continue…

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磯野(プロフ) - 令恩さん» おはようございます!コメントありがとうございます。こういうお兄ちゃんだったら良いのになあ、という作者の勝手な想像で作りました笑ありがとうございます!また他の作品もお時間がある時に見て頂けましたら幸いです。 (2018年8月13日 9時) (レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
令恩(プロフ) - はぁ…皇輝兄さんイケメン過ぎません?弟想いでちゃんと言う事は言うって素晴らしくないですか?これは及川が惚れるのも分からなくも無いなー (2018年8月13日 4時) (レス) id: 163bbcf1b4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:磯野 | 作成日時:2018年4月10日 17時

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