STORY 13 ページ4
「んで?俺のこと好きなんだろ?」
再確認するように皇輝は悪戯っぽく俺に問いかけると、俺はぷるぷると唇を震わせた。
皇輝が今、何を考えているかが分からない。
本当に俺の気持ちを知っていてそう問いかけているのか、からかっているのかが分からない。
ここで本音を言ってしまったら、皇輝はなんて答えてくれるの?どんな反応をするの?
とても怖かった。
しかし、俺の皇輝に寄せる想いは日に日に大きくなっていて、早く俺のこの気持ちを聞いて欲しい、知って欲しいなんて欲も出てきた。
ゴクリ、と喉仏を上下に動かして唾を飲み込み、一か八かで本音を口に出そうと、「す…」と唇を窄めた時だった。
ガラララ、バタンッ!
一瞬にして真っ暗な暗闇に包まれる俺と皇輝。
さっきまでは扉を半分開いていたため、体育館の電気の光が差し込んでいたからまだ明るかったけれど、今は暗闇に包まれてしまった。
そう、俺と皇輝は用具入れの中に閉じ込められてしまったんだ。
「嘘だろ…」
と暗闇の中から皇輝の声が聞こえるけれど、皇輝が今どこにいて、どんな表情をしているかが分からない。
一気に不安になり、両腕を伸ばして「こ、皇輝どこ!?暗いとこ無理!」と叫ぶけれど、皇輝は何も反応を示してくれない。
暗闇とお化けが苦手な俺は、本当にこの状況が恐ろしくて仕方がなかった。
両腕を左右に動かし、半泣き状態で「こう…」とか弱い声で皇輝を呼ぶと、ガタガタガタッと今度は大きな音が鳴り響く。
「ヒィィッ!」と叫び声を上げながら、今まで座っていたマットの隅に体を縮こませる。
「開かねえ…」
大きな音の後に聞こえてきたのは、皇輝の落胆した声だった。
「及川、開かねえわ。どうやら俺たち、閉じ込められたかも」
及川「は、…はぁ!?無理!開けてよ!どうにかしなよ!」
「どうにかって…無理だろコレ。開かねえもん」
いつにもなく冷静な皇輝が再び扉を開こうと踏ん張っているのか、ガタガタガタッとものすごい音が鳴り響くだけ。
それでも開かない扉に諦めた皇輝は、足音を響かせながらこの用具入れの中を歩いている様子。
まだ目が慣れていなくて、皇輝の姿がどこにあるのか分からなくて、「うう…」と小さく呻き声を上げると、両膝の上に乗せていた俺の手の甲の上に、じわり、と人の温もりが感じる。
その温もりから包まれるように手を取られると、ギュッとしっかりと握られた。
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磯野(プロフ) - 令恩さん» おはようございます!コメントありがとうございます。こういうお兄ちゃんだったら良いのになあ、という作者の勝手な想像で作りました笑ありがとうございます!また他の作品もお時間がある時に見て頂けましたら幸いです。 (2018年8月13日 9時) (レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
令恩(プロフ) - はぁ…皇輝兄さんイケメン過ぎません?弟想いでちゃんと言う事は言うって素晴らしくないですか?これは及川が惚れるのも分からなくも無いなー (2018年8月13日 4時) (レス) id: 163bbcf1b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:磯野 | 作成日時:2018年4月10日 17時