STORY 19 ページ28
【及川side】
皇輝に、会いたい。
皇輝と、話したい。
皇輝の、声が聞きたい。
今朝、玄関前でたまたま皇輝と会ってから、まだ2時間と少ししか経っていないけれど、もう皇輝に会いたくて会いたくて仕方ない。
今は授業と授業の間の休み時間。
いつもなら廊下に出て、皇輝の姿を探しながら友達と会話をするけれど、今は廊下に出ても皇輝の姿は見つからないことを知っている。
なぜなら、さっきの休み時間のときに、たまたま皇輝と同じクラスの女子生徒が、廊下に出ていた俺のところにやってきて会話をする機会があった。
その時に、「3時間目なに?」と問いかけたら、「理科だよ」と女子生徒は答えてくれた。
そう、理科の授業は移動教室。
早めに移動しなければいけないため、きっと皇輝は今頃理科室に向かっているだろう。
だから俺が今廊下に出たところで、皇輝の姿は見つけられないし、会えるはずもない。
はあ、と溜息を吐きながら、いじけたように筆箱の中をひっくり返し、ボールペンやマジックペンを並べて退屈しのぎをしていた。
日に日に皇輝に対する想いが大きくなっていて、出来ることなら早く告白して、付き合いたい。
けれど、2年生のときに皇輝が言った「今は誰とも付き合う気はない」という言葉が引っかかって想いを伝えることが出来ない。
及川「バカ皇輝…」
そう呟きながら机の上に顎を乗せ、無意識のうちにマジックペンのキャップを開けて机の上に落書きをしていた。
キュッ、とマジックペンの先端が机の木版に擦れる音がし、ようやくハッと我に返る。
無意識のうちに落書きしてしまった机を見てみると、そこに「こうき すき」と平仮名で書いてしまっている。
及川「最悪!」
急いで消そうと、マジックペンの上から消しゴムでごしごしと擦ってみるけれど、一向にマジックペンで書かれたその文字は消えようとはしない。
もしかして、と思いマジックペンに記載されている文字を見ると、「油性」と書かれてあった。
及川「…嘘でしょ」
やってしまった。
油性ペンなんて、消しゴムで擦ったところで落ちるわけない。
それでもその文字を消そうと指で擦ったり、ハンカチで擦ったりしてみるけれど、一向に姿を消さない。
まるで、俺の皇輝に対する熱い想いのように、その文字はハッキリと机に残ってしまっている。
誰かに見られたらどうしよう、と慌てていると、「おーい」と聞き覚えのある声が後扉から聞こえる。
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磯野(プロフ) - 令恩さん» おはようございます!コメントありがとうございます。こういうお兄ちゃんだったら良いのになあ、という作者の勝手な想像で作りました笑ありがとうございます!また他の作品もお時間がある時に見て頂けましたら幸いです。 (2018年8月13日 9時) (レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
令恩(プロフ) - はぁ…皇輝兄さんイケメン過ぎません?弟想いでちゃんと言う事は言うって素晴らしくないですか?これは及川が惚れるのも分からなくも無いなー (2018年8月13日 4時) (レス) id: 163bbcf1b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:磯野 | 作成日時:2018年4月10日 17時