STORY 16 ページ18
もう片手で人を掻き分けながら及川の腕をグイグイと引っ張り、ようやく辿り着いたのは、甘い蜜の匂いが漂うりんご飴の屋台の前。
屋台の鉄板の上には大きいりんご飴や小さいりんご飴、そしていちご飴やぶどう飴なども並んでいる。
ポケットから長財布を取り出した俺は、及川の腕を引っ張って屋台の目の前に立たせた。
「選べよ」
及川「えっ…」
「早くしろ。他の客が待ってんだろ」
及川「あ、えと、…これにしようかな」
及川が指をさしたのは大きなりんご飴で、俺は小さく舌打ちをしながら渋々500円玉を店のおっちゃんに差し出す。
「ありがとね！」と言ったおっちゃんは満面な笑みで大きなりんご飴を俺に差し出してきた。
それを受け取った俺は、屋台の隅に寄ると、及川にそれを差し出した。
「ほら」
及川「…覚えててくれたの？」
「ったりめぇだろ。ほら、食えよ」
及川「うん、ありがと…」
及川は俺の手からりんご飴を受け取ると、赤い舌を小さく伸ばしてりんご飴をペロッと舐めた。
そして、赤いりんご飴のように頬を赤く染めるた及川は、嬉しそうに俺に柔らかく笑みを浮かべた。
及川「美味しい」
「あっそ」
そう素っ気なく言いながらも、俺は安心した。
及川の機嫌が直って、本当に良かった。
財布の中を広げて小銭の枚数を数えると、再び俺は及川の顔を見上げた。
「あのさ、これからフランクフルトとかいろいろ買いに行きてえんだけど、ついてきてくんね？」
及川「しょうがないなぁー」
瞳を細めてりんご飴を振りながら言う及川に、「誰だよてめぇ」と言いながら俺は及川と肩を並べて歩き始めると、フランクフルトの屋台とお好み焼きの屋台、そしてチョコバナナの屋台に向かった。
最後にチョコバナナの屋台に向かった俺は、透明な容器にチョコバナナを二つ入れて、持ち帰り用の袋に入れてもらった。
もちろん、フランクフルトもお好み焼きも、全て二つずつ購入した。
そんな俺を見て及川は不思議に思ったのか、大量に持っている俺の袋をひとつ手に持ちながら俺に問いかけた。
及川「そんなに食べんの？」
「ひとりで食べるわけじゃねえし」
及川「あ、弟くん？頼まれたの？」
「頼まれてねえよ」
「ン？」と首を傾げる及川に、俺はチョコバナナが入った袋を広げて見せながら言った。
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磯野(プロフ) - 令恩さん» おはようございます！コメントありがとうございます。こういうお兄ちゃんだったら良いのになあ、という作者の勝手な想像で作りました笑ありがとうございます！また他の作品もお時間がある時に見て頂けましたら幸いです。 (2018年8月13日 9時) (
レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
令恩(プロフ) - はぁ…皇輝兄さんイケメン過ぎません？弟想いでちゃんと言う事は言うって素晴らしくないですか？これは及川が惚れるのも分からなくも無いなー (2018年8月13日 4時) (レス) id: 163bbcf1b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：磯野
| 作成日時：2018年4月10日 17時
