STORY 13 ページ2
【及川side】
及川「あれ?皇輝は?」
ある日、部活が終わり部室で着替えをしようと自分のロッカーに歩み寄ると、普段なら部活が終わるとすぐに着替えをして帰宅する皇輝の姿が見えない。
床に置き去りにされてあるスポーツバッグがあるからには、まだ帰っていないはずなのに。
ロッカーの扉に手をかけながら、皇輝の名前が入ったスポーツバッグを見つめていると、部員のひとりが俺の疑問に答えてくれた。
「皇輝ならさっき、用具入れの掃除してたけど」
及川「え、なんで?皇輝に何があったの?」
皇輝が自ら進んで用具入れの掃除をするだなんて、信じられない。
「監督にタメ口使ったみたいで、罰として用具入れの掃除させられてるっぽい」
及川「うわあ、皇輝もつくづくバカだよね」
はあ、と溜息を吐きながら自分のロッカーの扉から手を離すと、部室の扉へと歩いていく。
そんな俺の姿を見た部員のひとりが、「どこ行くんだよ?」と俺の背中に問いかけると、俺は部室の扉に手を添えながら振り返った。
及川「ン?皇輝のとこ」
ガチャッと扉を開いて部室から出て、再び体育館へと戻る俺の行動に、その場にいた同学年の部員達は何度も瞬きを繰り返した。
「なあ、岩泉」
岩泉「どうした?」
「及川って、いつから皇輝の世話係になったの?」
岩泉「世話係?」
岩ちゃんは練習着を脱ぎ制服のシャツに腕を通しながら首を傾げた。
「最近の及川、皇輝にべったりじゃね?なんつーか、母親みたいっつーか」
岩泉「あー…」
そう声を漏らしながら岩ちゃんは自分のシャツのボタンをひとつずつ閉じながら、ハハッと小さく笑った。
岩泉「確かに、ある意味世話係かもなあ」
*
及川「皇輝!!」
彼の名前を呼びながら用具入れの扉を勢い良くスライドさせて開くと、その部屋の中には皇輝がしゃがみ込んでバレーボールを雑巾で拭いていた。
暗闇の中で作業をしていたため、突然差し込んだ体育館の電気の光に、皇輝は眩しそうに瞳を細めて俺を見上げる。
「なに」
及川「なに、ってことはないんじゃないの?手伝いに来てあげたのに」
「んじゃ俺の代わりに頼むわ」
及川「違うだろ!代わるんじゃなくて、手伝うだけ!」
開いた扉を半分閉めて用具入れの中に入ると、皇輝の背後にある積み重なっているマットの上に腰を下ろした。
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磯野(プロフ) - 令恩さん» おはようございます!コメントありがとうございます。こういうお兄ちゃんだったら良いのになあ、という作者の勝手な想像で作りました笑ありがとうございます!また他の作品もお時間がある時に見て頂けましたら幸いです。 (2018年8月13日 9時) (レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
令恩(プロフ) - はぁ…皇輝兄さんイケメン過ぎません?弟想いでちゃんと言う事は言うって素晴らしくないですか?これは及川が惚れるのも分からなくも無いなー (2018年8月13日 4時) (レス) id: 163bbcf1b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:磯野 | 作成日時:2018年4月10日 17時