STORY 12 ページ46
及川「でも、たまに見せてくれる優しさとか、笑ったときに細くなる目とか、ハッキリ相手に自分の気持ちを伝えるところとか、…すごく好きなんだよね」
「結構ズバズバ言うタイプかー、やだなー」
及川「お前もハッキリ言うタイプじゃん」
「ハキハキしてる女、あんま好きじゃねえ」
やっぱり皇輝は、俺の好きな相手が女子だと勘違いしている。
チラッと皇輝の様子を伺うように黒目を動かしてから、ゲフン、とひとつ咳払いをした。
及川「あー……のさ、皇輝って、男の子から告白されたら、…どう思う？」
「断わるけど」
即答する皇輝の言葉に、心臓が握り潰される感覚に襲われる。
「あ、でもどうだろうなぁ…」
及川「え？」
「もし相手が男だとしても、そいつが俺のことをすげえ好きで、好きで好きでたまんなくて、俺を幸せにしてくれたり、愛してくれたり、一生懸命になってくれたら付き合う、…かなぁ？」
及川「そうなの！？同性でも大丈夫なの！？」
「なにお前。男が好きなの？」
皇輝の言葉に食い付いてしまった俺に、皇輝は一歩引いたように後退りをする。
及川「い、いや……えと、…」
「まあ、別に良いんじゃね？相手が男であっても、お前がそいつのこと好き好き言ってれば、いつかは付き合えるかもよ？」
その「いつか」じゃ遅いんだよ、皇輝。
俺は今、お前と付き合いたいんだよ。
「でも大川の誘いを断ったのは納得いかねえなー。アイツ、前々からお前のこと好きだったっぽいし」
及川「皇輝と大川さんって仲良いよね」
「同じ保育園、同じ小学校」
及川「幼馴染なんだ？」
「ま、そんなとこ」
後頭部に両手を添えて歩き始める皇輝の隣に並び教室に向かう。
皇輝は確かに俺の目の前で、「一生懸命になってくれたら同性とでも付き合う」と言った。
なら、俺は一生懸命頑張るよ。
皇輝のためにたくさんアピールするし、たくさん皇輝を笑わせるし、皇輝が幸せになれるように努力するよ。
及川「皇輝」
「んー」
及川「俺、頑張るね」
真っ直ぐ前を見つめ、真剣な表情をする俺を皇輝は見上げると、フッと口元を緩めては俺の背中をバシッと叩いた。
「おう、頑張れ」
ーーーーー
to be continue…
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作者名：磯野
| 作成日時：2018年4月3日 20時
