STORY 9 ページ29
及川「ずっと目で追っちゃうんだ。探しちゃう。あと、変に意識しちゃったりもする。わざと皇輝に聞こえるように廊下で友達と話したり、皇輝と話せたらテンション上がって、話せなかったら授業に集中できないくらい落ち込む。ねえ、なんでだと思う？」
伸ばしていた腕を降ろした岩ちゃんは、「そりゃあ」と言葉を漏らした後に、衝撃的な言葉を俺に投げた。
岩泉「お前が皇輝を好きだからだろ」
投げられた言葉をすぐに理解出来ず、ぼんやりとトスの練習をする皇輝を眺めた後、ぐるんっと首を回して岩ちゃんに顔を向けた。
ようやく岩ちゃんの言葉を理解した俺は、ぱちぱちと何度も瞬きをする。
岩泉「…無自覚かよ」
及川「なに？なんて？え？誰が誰を好きって？」
岩泉「お前が、皇輝のことを、好きなんだろって言ってんだよ」
きちんと俺に分かりやすいように言葉を区切る岩ちゃんに、眉を寄せて「はぁぁああ！？」と声を裏返す。
及川「なんで！？なんでそうなるの！」
岩泉「俺は知ってたけどな。お前が皇輝に恋愛感情あんの」
及川「だ、だってアイツ！男だよ！？」
岩泉「恋愛に性別は関係無ぇだろ、今の世の中」
「今の世の中」だなんて、まるで大人が言う台詞をサラッと言う岩ちゃんに、口をパクパクと開閉させる。
俺が皇輝に恋愛感情を抱いてる！？
そんなおもしろくない話、有り得るの！？
口をパクパクと開閉させながら再び皇輝へ顔を戻すと、なんだか急に皇輝が眩しく見えてくる。
部活前なのに必死にトスの練習をして額に浮かぶ汗も、上手くトスが出来た時に無邪気に笑う顔も、両腕を上げた時に服の下からチラッと見える小さなへそも、全て輝いて見えてしまう。
うわ、眩しい。
皇輝が光り輝いて見えて、目に悪い。
一度両目を瞑り、ごしごしと腕で目を擦ってみる。
再度皇輝を見てみると、普段と変わらない皇輝の姿に戻っていた。
岩泉「お前、今まで彼女いたことあるだろ」
及川「あるよ。でも本気じゃないし。しかも俺から告白したことないしね」
サラッと答える俺に岩ちゃんは、大きく舌打ちをして俺を睨み付ける。
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作者名：磯野
| 作成日時：2018年4月3日 20時
